日々ひび)” の例文
お互いの日々ひびの心得としての立場より見て、いかなる心がけにてこの場合に処するかといえば、僕はやはり弁解説明する必要がないと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さて、さむさは日々ひびにひどくなってました。子家鴨こあひるみずこおってしまわないようにと、しょっちゅう、そのうえおよまわっていなければなりませんでした。
もろもろの物資ともしくなる〔な〕べに盗みごころの日々ひびにはびこる(銭湯にて屡〻シャツを盗まるる由聞きて)
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
日々ひびそこでいとなまれる生活せいかつこそ、どんなにか、たのしかろうじゃないか。そこには、暴力ぼうりょくや、権力けんりょくをもつ人間にんげんもなく、すべてが理解りかい同情どうじょうとで、協力きょうりょくしあうのだからね。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
庭に地蔵様を立たせて、おのれは日々ひび鬼の生活をして居るでは、全く恥かしい事である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それにも似た——事はまるで違うが、日々ひびにぶつかる余儀ないさびしさだった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
霧くらくめて晴れざる巴里パリーにてゆたかなるものを日々ひびに求めき
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
うしなはれた美しい日々ひび歌声うたごえではない
霙の中 (新字旧仮名) / 森川義信(著)
今わが日々ひびはすべて夢幻ゆめまぼろしにして
日々ひびの事業について、実業家がその職業をいとなむにつけても同じこと、おのれがそんしたからとて、みだりにその罪を他人にかぶせるようなことはない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
日々ひびに老いて近づく冬の気息が一刻々々に身に響く頃の一種の恐怖おそれ、死に先だつ深い絶望と悲哀は、東京附近の浅薄な冬の真似では到底分からぬ。東京附近の冬は、せい/″\半死半生である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
鳴滝のたぎちの音を聞きつつぞ西洋せいやうがく日々ひび目ざめけむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日々ひび得意先を回る魚屋さかなや八百屋やおや豆腐屋とうふやの人々の中に裏門を通用する際、かく粗末そまつなる木戸きどをくぐらすは我々を侮辱ぶじょくするなりといきどおる民主主義の人もあるまい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)