“梧”の読み方と例文
読み方割合
きり100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その当時十五歳の少年は、思い出多きこの字書に対して、そぞろに我身の秋を覚えた。すだれの外にはきりの葉が散る。(明治四十四年九月)
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
旅館の庭には桜のほかに青梧あおぎりえんじゅとを多く栽えてある。せたきりの青い葉はまだ大きい手をひろげないが、古い槐の新しい葉は枝もたわわに伸びて、軽い風にも驚いたようにふるえている。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
縁に近いきりの葉が一、二枚、音もなしに寂しく落ちるのを、泰親はじっと眺めていると、千枝太郎はぬき足をして燈台をそっと運んで来た。きょうももういつの間にか暮れかかっていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)