“せつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:セツ
語句割合
41.2%
23.6%
11.2%
11.2%
4.3%
1.2%
0.9%
0.9%
0.6%
0.6%
季節0.3%
0.3%
天象0.3%
0.3%
0.3%
念々切0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
遣切0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ふみすぎにけり、で杉を使ったなどは随分せつない、歌仙の歌でも何でも有りはしない、音律不たしかなせつのような歌である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ここに演じまするは、当興行第一の呼び物、摩訶まか不思議の大魔術、座長欧米漫遊のせつ習い覚えましたる、美人解体術でございます。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
瘠我慢やせがまんせつは、福沢先生が明治二十四年の冬頃に執筆せられ、これを勝安芳かつやすよし榎本武揚えのもとたけあきの二氏に寄せてその意見をもとめられしものなり。
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
敬太郎は真面目まじめになって松本恒三様の五字をながめたが、ふとったしまりのない書体で、この人がこんな字を書くかと思うほどせつらしくできていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
非局部性ひきよくぶせい大地震だいぢしんおこことのある海洋底かいようていせつした海岸地方かいがんちほうは、大搖おほゆれの地震ぢしん見舞みまはれた場合ばあひ津浪つなみについての注意ちゆういようする。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
第二せつの妙は初齣をゆること一等なりき。これヂドとエネエアスとの對歌ヅエツトオなり。ヂドは無情なる夫のせめては啓行いでたちの日をおそうせんことを願へり。君が爲めにはわれリユビアの種族をはづかしめき。
思うに、ここの味方内から離反者が簇出ぞくしゅつしたばかりでなく、せつせんいったいにわたる日和見ひよりみ的な武族もまた
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孟公綽もうこうしゃくは、たといしんちょう家や家のような大家であっても、その家老になったらりっぱなものだろう。しかし、とうせつのような小国でも、その大夫にはなれない人物だ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
(略)菩薩ぼさつ薩摩の薩は字原せつなり博愛堂『集古印譜』に薩摩国印は薛……とあり訳経師やっきょうし仮釈かしゃくにて薛に二点添付したるを元明げんみんより産の字に作り字典は薩としあるなり唐には決して産に書せず云々
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
臧文仲ぞうぶんちゅうは、諸侯でもないのに、国の吉兆を占うさいをもっている。しかもそれを置くせつには山の形を刻み、せつには水草の模様を描いているが、それは天子の廟の装飾だ。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いまから丁度ちやうどねんまへ季節せつさくら五月ごぐわつ中旬なかばある晴朗うらゝか正午せうご時分じぶんであつた。
甲板かんぱんると、弦月丸げんげつまる昨夜ゆふべあひだにカプリとうおきぎ、いまはリコシアのみさきなゝめ進航しんかうしてる、季節せつは五ぐわつ中旬なかばあつからずさむからぬ時※じこうくはふるに此邊このへんたい風光ふうくわう宛然えんぜんたる畫中ぐわちゆうけい
中には狂歌狂句俗謡の類で、文字のやゝせつに亘つたものが夾雑してゐた。女のしかけた恋だと云ふ故であつたらしい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
同遊者の渋江六柳りくりうは抽斎である。小野抱経はうけい富穀ふこくである。抱経と号したには笑ふべき来歴があるが、事のせつに亘るを忌んで此に記さない。石川二たう貞白ていはくであらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あめが、さつと降出ふりだした、停車場ていしやばいたときで——天象せつはなくだしである。あへ字義じぎ拘泥こうでいする次第しだいではないが、あめはなみだしたやうに、夕暮ゆふぐれしろかつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
殷の方はせつの母が玄鳥の卵を墮すを拾つて食べたので姙娠し、契を生んだといふ話があり、周の祖后稷は、其母が野に出て巨人の足跡の拇を踏んで、其れに感じて姙娠して生れたと謂はれてゐて
女真種族の同源伝説 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
熊楠諸国を遍歴して深く一じんせつをも破壊するてふ事の甚だ一国一個人の気質品性を損するを知り、昼夜奔走苦労してその筋へ進言し、議会でも弁じもらい、ついに囹圄れいごとらわるるに至って悔いず。
ただ一翳いちえい眼にって空花乱墜くうげらんついするが故に、俗累ぞくるい覊絏牢きせつろうとしてちがたきが故に、栄辱得喪えいじょくとくそうのわれにせまる事、念々切せつなるが故に、ターナーが汽車を写すまでは汽車の美を解せず
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東に召すと東に徙るとは分明に二せつをなしてゐる。わたくしの読むことが精しくなかつたと謂はなくてはならない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
奏する所の曲は「タツソオ」にして、おもなる女優はドニチエツチイといふものなりき。一せつをはるごとに、客の喝采してあまたゝび幕の外に呼び出すを、愛らしき笑がほして謝し居たり。
「広岡せつは泊った、それで……」
日本婦道記:尾花川 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わい、両せつ、各省の軍管区から選抜された「飛天神兵」と呼ばれる精鋭隊があると——これまた戴宗のさぐりによって分っていたからだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いきおいいよ/\せまる。群臣あるいは帝に勧むるにせつこうするを以てするあり、あるい湖湘こしょうに幸するにかずとするあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
古典には、せつせんみょう、というようないろいろな名前で書いてあって、疲労をいやし、精神をさわやかにし、意志を強くし、視力をととのえる効能があるために大いに重んぜられた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
穴の中の恐ろしさ苦しさも、今妻の不義を見せつけられたせつなさに比べては、物の数ではなかった。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
アンマリ立派な話じゃ御座いませんので……あの時のような遣切せつない事はありまっせんじゃった。今まで誰にも云わずにおりましたが……懲役に遣られるかも知れませんので……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いわんや北国のせつ世界はほとんど一年の三分の一を白き物の中に蟄居ちっきょせざるべからざるや。ことに時候を論ぜざる見世物と異なりて、渠の演芸はおのずから夏炉冬扇のきらいあり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)