きり)” の例文
毎日こゝかしこの木を心のまゝにきりとりてたきゞにつくり、小屋のほとりにあまたつみおき、心にるほどにいたればそのまゝにつみおきて家にかへる。
殿様のごときは黒くなりて、「一度あることは二度というぞ。あの松の木今の間にきり倒せ。」と苛立いらだちたまう。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昔の宿場風の休茶屋には旅商人たびあきんどの群が居りました。「唐松からまつ」という名高い並木はきり倒される最中で、大木の横倒よこたおしになる音や、高い枝の裂ける響や、人足の騒ぐ声は戦闘いくさのよう。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と、千悔の声々も多かりけり、廿餘人きりかさねければ、河水も色を変じたり
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
川崎金右衞門聲をあげだまれ傳吉もの/\しく言葉をかざり刄物の吟味を申立るが夫を汝にならはんや其意趣そのいしゆある事を言聞さん憑司事先年村持の山をきりたるとがに依て村役を退けたり其跡役あとやくは上の思召にて汝を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
常には見上る高枝たかきえだうづまりたる雪を天然てんねん足場あしばとして心のまゝきりとり、大かたは六を一人まへとするなり。
尋問たづねられしかば憑司はぐつ/\こたふるやう私し少し間違まちがひにて村の持山もちやまきりしゆゑ退役いたし其跡にて傳吉儀役人中へ色々つひに村長と相成しが傳吉段々我儘わがまゝ押領あふりやう等の筋之有るやにて又私しへ村長を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
常には見上る高枝たかきえだうづまりたる雪を天然てんねん足場あしばとして心のまゝきりとり、大かたは六を一人まへとするなり。
村にちかき所は皆きりつくしてたま/\あるも足場あしきゆゑ、山一重ひとへこえて見るに、薪とすべき柴あまたありしゆゑ自在じざいきりとり、雪車そり哥うたひながら徐々しづかにたばね、雪車につみて縛つけ山刀やまかたなをさしいれ