きら)” の例文
是公の家の屋根から突出つきだした細長い塔が、瑠璃色るりいろの大空の一部分を黒く染抜いて、大連の初秋はつあきが、内地では見る事のできない深い色の奥に、数えるほどの星をきらつかせていた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先づうれしきここちしてあゆむに、家はもとにかはらであり、人も住むと見えて、古戸ふるどすきより灯火の影もれてきら々とするに、八二こと人や住む、もし八三其の人やいますかと心さわがしく
此のとこの上にきら々しき物あり。人々恐る恐るいきて見るに、二〇二狛錦こまにしき二〇三くれあや二〇四倭文しづり二〇五かとりたて二〇六ほこ二〇七ゆきくはたぐひ、此の失せつる二〇八神宝かんだからなりき。
此の頭三三八何ばかりの物ぞ。此の戸口に充満みちみちて、雪を積みたるよりも白くきら々しく、まなこかがみの如く、つの枯木かれきごと、三たけ余りの口を開き、くれなゐの舌をいて、只一のみに飲むらんいきほひをなす。