きら)” の例文
盡しけるに母も父が七回忌くわいきあたとし病死なしければ傳吉の愁傷しうしよう大方ならずかつ親類しんるゐは只當村たうむらをさ上臺憑司かみだいひようじ而已のみなれ共是は傳吉の不如意をきらひ出入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
噂のひろがると共に疫が忽ち村中に流行して来る——と、実際村の人は思つてるので、疫其者よりも巡査の方がきらはれる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
河童がたろ横町はむかし河童かっぱんでいたといわれ、きらわれて二束三文にそくさんもんだったそこの土地を材木屋の先代が買い取って、借家を建て、今はきびしく高い家賃も取るから金が出来て
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
自分の生れた美作みまさかの山々にも、薬草採りの小屋はあるが、薬草はすべて湿気をきらう。こんな、鬱蒼うっそうと雑木の枝をかぶって、しかも滝しぶきの来るような所に、乾小屋ほしごやは持っていない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)