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爛
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きら
螢の薄光で、
微に見える其の姿は、
何樣なに
薄氣味惡く見えたろう。眼は妙に
爛ついてゐて、鼻は
尖ツて、そして
鬚は
銀のやうに光ツて、
胸頭を飾ツてゐた。
築地二丁目の待合「浪の家」の帳場には、
女将お才の
大丸髷、頭上に
爛めく電燈目掛けて
煙草一と吹き、
長へに
嘯きつゝ「議会の解散、戦争の
取沙汰、此の
歳暮をマア
何うしろツて言ふんだねエ」
「また始めやがツた。」と俊男は
眉の間に
幾筋となく
皺を寄せて
舌打する。
切に
燥々して來た
氣味で、奧の方を見て眼を
爛つかせたが、それでも
耐えて、體を
斜に兩足をブラり
椽の板に落してゐた。