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薄
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うつす
ふりがな文庫
“
薄
(
うつす
)” の例文
浴室
(
よくしつ
)
の
窓
(
まど
)
からも
此
(
これ
)
が
見
(
み
)
えて、
薄
(
うつす
)
りと
湯氣
(
ゆげ
)
を
透
(
すか
)
すと、ほかの
土地
(
とち
)
には
餘
(
あま
)
りあるまい、
海市
(
かいし
)
に
對
(
たい
)
する、
山谷
(
さんこく
)
の
蜃氣樓
(
しんきろう
)
と
言
(
い
)
つた
風情
(
ふぜい
)
がある。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
弱々しい外光が、戸のすきだけの巾の白い線を、
薄
(
うつす
)
りと障子に筋つけるのを見ると、電燈が消えるのも、もうすぐだといふ事が分つた。
ある死、次の死
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
彼れは顯微鏡のカバーの上に
薄
(
うつす
)
らたまつた
埃
(
ほこり
)
を
隻眼
(
かため
)
で見やりながら、實驗室に出入しなかつたこの十日間程の出來事を、涙ぐましく思ひかへしてゐた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
日は
午
(
ひる
)
すこし過ぎ、空は高いが、
何処
(
どこ
)
からとなく、
薄
(
うつす
)
らした雲の
層
(
かさ
)
が、白くよどむで来ては掻き消えてゆく。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
星明りに
薄
(
うつす
)
りと浮んだ阿寒山の雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、川向の一區域に燈火を群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗を
劈
(
つんざ
)
いた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
に、
風呂敷
(
ふろしき
)
は、
手早
(
てばや
)
く
疊
(
たゝ
)
んで
袂
(
たもと
)
へ
入
(
い
)
れて、
婦
(
をんな
)
は
背後
(
うしろ
)
のものを
遮
(
さへぎ
)
るやうに、
洋傘
(
かうもり
)
をすつと
翳
(
かざ
)
す。と
此
(
こ
)
の
影
(
かげ
)
が、
又
(
また
)
籠
(
かご
)
の
花
(
はな
)
に
薄
(
うつす
)
り
色
(
いろ
)
を
添
(
そ
)
へつつ
映
(
うつ
)
る。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
星明りに
薄
(
うつす
)
りと浮んだ
阿寒山
(
あかんざん
)
の雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、
川向
(
かはむかひ
)
の
一区域
(
ひとしきり
)
に
燈光
(
ともしび
)
を群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗を
劈
(
つんざ
)
いた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
同
(
おな
)
じ
其
(
そ
)
の
光
(
ひかり
)
ながら、
山
(
やま
)
の
樹立
(
こだち
)
と
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
れと、
蒼
(
あを
)
く、
白
(
しろ
)
く、
薄
(
うつす
)
りと
色
(
いろ
)
が
分
(
わか
)
れて、
一
(
ひと
)
ツを
離
(
はな
)
れると、
一
(
ひと
)
ツが
迎
(
むか
)
へる。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
葉といふ葉は皆黄金の色、曉の光の中で
微動
(
こゆらぎ
)
もなく、
碧々
(
あを/\
)
として
薄
(
うつす
)
り
光澤
(
つや
)
を流した
大天蓋
(
おほぞら
)
に鮮かな輪廓をとつて居て、仰げば
宛然
(
さながら
)
金色の雲を被て立つ巨人の姿である。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
沼
(
ぬま
)
の
上
(
うへ
)
を
離
(
はな
)
れる
時
(
とき
)
、
網
(
あみ
)
の
目
(
め
)
を
灌
(
そゝ
)
いで
落
(
お
)
ちる
水
(
みづ
)
の
光
(
ひか
)
り、
霞
(
かすみ
)
の
懸
(
かゝ
)
つた
大
(
おほき
)
な
姿見
(
すがたみ
)
の
中
(
なか
)
へ、
薄
(
うつす
)
りと
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
映
(
うつ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
葉といふ葉は皆黄金の色、暁の光の中で
微動
(
こゆるぎ
)
もなく、碧々として
薄
(
うつす
)
り
光沢
(
つや
)
を流した
大天蓋
(
おほぞら
)
に鮮かな輪廓をとつて居て、仰げば
宛然
(
さながら
)
金色
(
こんじき
)
の雲を
被
(
き
)
て立つ巨人の姿である。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
成程
(
なるほど
)
、
近々
(
ちか/″\
)
と
見
(
み
)
ると、
白
(
しろ
)
い
小
(
ちひ
)
さな
花
(
はな
)
の、
薄
(
うつす
)
りと
色着
(
いろづ
)
いたのが
一
(
ひと
)
ツ
一
(
ひと
)
ツ、
美
(
うつくし
)
い
乳首
(
ちゝくび
)
のやうな
形
(
かたち
)
に
見
(
み
)
えた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
翌朝
(
あくるあさ
)
目を覚ました時は、雨戸の隙を潜つて
空寒
(
うそさむ
)
く障子を染めた暁の光の中に、石油だけは流石に凍らぬと見えて、心を細めて置いた
吊洋燈
(
つりランプ
)
が
昨夜
(
よべ
)
の儘に
薄
(
うつす
)
りと点つて居たが
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
聞
(
き
)
かつせえまし、
肩
(
かた
)
から
胸
(
むね
)
の
辺
(
あたり
)
まで、
薄
(
うつす
)
らと
見
(
み
)
えるだね、
試
(
ため
)
して
見
(
み
)
ろで、やつと
引
(
ひ
)
き
揚
(
あ
)
げると、
矢張
(
やつぱ
)
り
網
(
あみ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて
水
(
みづ
)
を
離
(
はな
)
れる……
今度
(
こんど
)
は、ヤケにゆつさゆさ
引振
(
ひつぷる
)
ふと
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雨戸の隙を潜って
空
(
うそ
)
寒く障子を染めた曉の光の中に、石油だけは流石に凍らぬと見えて、
心
(
しん
)
を細めて置いた
吊洋燈
(
つるしランプ
)
が
昨夜
(
よべ
)
の儘に
薄
(
うつす
)
りと
點
(
とも
)
つて居たが、茶を注いで飮まずに置いた茶碗が二つに割れて
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
……
唯吉
(
たゞきち
)
を
見越
(
みこ
)
した
端
(
はし
)
に、
心持
(
こゝろもち
)
、
會釋
(
ゑしやく
)
に
下
(
さ
)
げた
頸
(
うなじ
)
の
色
(
いろ
)
が、
鬢
(
びん
)
を
透
(
す
)
かして
白
(
しろ
)
い
事
(
こと
)
!……
美
(
うつく
)
しさは
其
(
それ
)
のみ
成
(
な
)
らず、
片袖
(
かたそで
)
に
手
(
て
)
まさぐつた
團扇
(
うちは
)
が、
恰
(
あたか
)
も
月
(
つき
)
を
招
(
まね
)
いた
如
(
ごと
)
く、
弱
(
よわ
)
く
光
(
ひか
)
つて
薄
(
うつす
)
りと
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
(
うつす
)
りと
淺葱
(
あさぎ
)
に、
朱鷺
(
とき
)
に、
其
(
そ
)
の
草
(
くさ
)
の
花
(
はな
)
を
綾
(
あや
)
に
織
(
お
)
つた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
“薄”を含む語句
薄暗
薄明
薄暮
薄氷
薄笑
薄命
薄紅
薄倖
薄紗
薄荷
薄情
薄衣
薄闇
薄汚
薄化粧
薄茶
薄気味
薄穢
薄光
薄墨
...