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薄
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せま
ふりがな文庫
“
薄
(
せま
)” の例文
保さんと游さんと墨汁師とである。そして游さんは
湮滅
(
いんめつ
)
の期に
薄
(
せま
)
っていた墓誌銘の幾句を、図らずも救抜してくれたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
百里の遠きほかから、吹く風に乗せられて
微
(
かす
)
かに響くと思う
間
(
ま
)
に、近づけば
軒端
(
のきば
)
を
洩
(
も
)
れて、枕に
塞
(
ふさ
)
ぐ耳にも
薄
(
せま
)
る。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
爺いさんが又ドルフに
薄
(
せま
)
つた。「ドルフ。お主がはいらんと云へば、死ぬるまでだ、己がもう一遍はいる。」
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
猶此他にも、研究すれば研究するに從つて、春が大なる季節の流行といふ力を
背後
(
うしろ
)
にして吾人に
薄
(
せま
)
るところのものは、決して少く無いことを見出し得るであらう。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
𤢖
(
わろ
)
か。」と、
此
(
こ
)
の刹那に市郎は
忽
(
たちまち
)
に悟ったが、敵が余りに近く
薄
(
せま
)
っているので、火を
点
(
つ
)
ける余裕が無い。彼は右の足を働かして強く蹴ると、敵は
足下
(
あしもと
)
に倒れたらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
久
(
ひさし
)
く
人気
(
ひとけ
)
の絶えたりし一間の
寒
(
さむさ
)
は、今
俄
(
にはか
)
に人の温き肉を得たるを喜びて、
直
(
ただ
)
ちに
咬
(
か
)
まんとするが如く
膚
(
はだへ
)
に
薄
(
せま
)
れり。宮は
慌忙
(
あわただし
)
く火鉢に取付きつつ、目を挙げて
書棚
(
しよだな
)
に飾れる時計を見たり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
力一ぱい己に
薄
(
せま
)
って来たファウストはどこにいる。495
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
怕
(
おそ
)
る日西山に
薄
(
せま
)
って愁阻を生じ易きことを
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そろそろ夕景が
薄
(
せま
)
つてきて
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
異象の秋に
薄
(
せま
)
るもの
逸見猶吉詩集
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
もし時務の要求が
漸
(
ようや
)
く増長し
来
(
きた
)
って、強いて学者の身に
薄
(
せま
)
ったなら、学者がその学問生活を
抛
(
なげう
)
って
起
(
た
)
つこともあろう。しかしその背面には学問のための損失がある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
燕兵もと勇にして毎戦毎勝す。庸の軍を見るや
鼓譟
(
こそう
)
して
薄
(
せま
)
る。火器
電
(
でん
)
の
如
(
ごと
)
くに発し、毒弩雨の如く注げば、
虎狼鴟梟
(
ころうしきょう
)
、皆傷ついて倒る。又
平安
(
へいあん
)
の兵の至るに会う。庸
是
(
ここ
)
に於て兵を
麾
(
さしまね
)
いて
大
(
おおい
)
に戦う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
汝達我に
薄
(
せま
)
る。さらば好し。
靄
(
もや
)
と霧との中より5
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
上
(
かみ
)
に病弱なる将軍家定を戴き、
外
(
ほか
)
よりは列強の来り
薄
(
せま
)
るに会しても、府城の
下
(
もと
)
に遊廓劇場の賑つたことは平日の如く、士庶の家に飲讌等の行はれたことも亦平日の如くであつただらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
“薄”を含む語句
薄暗
薄明
薄暮
薄氷
薄笑
薄命
薄紅
薄倖
薄紗
薄荷
薄情
薄衣
薄闇
薄汚
薄化粧
薄茶
薄気味
薄穢
薄光
薄墨
...