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薄
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すゝき
ふりがな文庫
“
薄
(
すゝき
)” の例文
その岸には水車が幾個となく懸つて居て、春は
躑躅
(
つゝじ
)
、夏は
卯
(
う
)
の花、秋は
薄
(
すゝき
)
とその
風情
(
ふぜい
)
に富んで居ることは画にも見ぬところである
相
(
さう
)
な。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
と、
時々
(
とき/″\
)
その
中
(
なか
)
から、
黒
(
くろ
)
く
拔出
(
ぬけだ
)
して、
跫音
(
あしおと
)
を
沈
(
しづ
)
めて
來
(
き
)
て、
門
(
かど
)
を
通
(
とほ
)
りすぎるかとすれば、
閃々
(
きら/\
)
と
薄
(
すゝき
)
のやうなものが
光
(
ひか
)
つて
消
(
き
)
える。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
店へ行く廊下を通る時大きい銀の
薄
(
すゝき
)
のかんざしの鈴が鳴つた。
菊菱
(
きくびし
)
の紋を白く抜いた水色の麻の幕から日が通つて、金の屏風にきらきらと光つて居た。
住吉祭
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
月見の用意なども昨夜のまゝ
薄
(
すゝき
)
や
萩
(
はぎ
)
が、眞晝の陽の中に、ユラユラと影を落してゐるのも、わびしく哀れな姿です。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華
(
はな
)
やかな
色
(
いろ
)
の
中
(
なか
)
に、白い
薄
(
すゝき
)
を染め抜いた帯が見える。
頭
(
あたま
)
にも真白な
薔薇
(
ばら
)
を一つ
挿
(
さ
)
してゐる。其
薔薇
(
ばら
)
が
椎
(
しい
)
の
木陰
(
こかげ
)
の
下
(
した
)
の、
黒
(
くろ
)
い
髪
(
かみ
)
の
中
(
なか
)
で
際立
(
きはだ
)
つて
光
(
ひか
)
つてゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
一夜の松風に夢さめて、
思
(
おもひ
)
寂
(
さび
)
しき
衾
(
ふすま
)
の中に、
我
(
わが
)
ありし事、
薄
(
すゝき
)
が末の露程も思ひ出ださんには、など
一言
(
ひとこと
)
の哀れを返さぬ事やあるべき。思へば/\心なの横笛や。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「違ひない。」と、乙まも煑しめたやうな手拭の頬冠りを取つて、
薄
(
すゝき
)
のやうな白髮頭を掻き掻き笑つた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
漸
(
ようや
)
く一方を切抜けて
薄
(
すゝき
)
だゝみへ飛込んで、往来の広い所へ飛出す出合がしら、伴藏は眼も
眩
(
くら
)
み、
是
(
こ
)
れも同じ捕方と思いましたゆえ、ふいに孝助に斬掛けましたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
うしろの
土手
(
どて
)
の
自然生
(
しぜんばへ
)
を
弟
(
おとゝ
)
の
亥之
(
いの
)
が
折
(
をつ
)
て
來
(
き
)
て、
瓶
(
びん
)
にさしたる
薄
(
すゝき
)
の
穗
(
ほ
)
の
招
(
まね
)
く
手振
(
てぶ
)
りも
哀
(
あは
)
れなる
夜
(
よ
)
なり。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
与平治
(
よへいじ
)
茶屋附近虫取
撫子
(
なでしこ
)
の盛りを過ぎて開花するところより、一里茶屋に至るまで、
焦砂
(
せうさ
)
を
匂
(
にほ
)
はすに花を以てし、夜来の宿熱を
冷
(
ひ
)
やすに刀の如き
薄
(
すゝき
)
を以てす、
雀
(
すゞめ
)
おどろく
茱萸
(
ぐみ
)
に
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
薄
(
すゝき
)
の
穂
(
ほ
)
さきも
火
(
ひ
)
になつた。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
萱や
薄
(
すゝき
)
が人の肩も見えぬばかりに生ひ茂つて、をり/\見る一軒屋には、
桔槹
(
はねつるべ
)
が高くかゝつて、
甜瓜
(
まくわうり
)
が
黄
(
きい
)
ろく熟してゐた。
草津から伊香保まで
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
纖
(
ほそ
)
きこと
縷
(
る
)
の
如
(
ごと
)
し
玉蜻
(
かげろふ
)
と
言
(
い
)
ふ。
彼
(
か
)
の
女
(
をんな
)
、
幽
(
かすか
)
に
青
(
あを
)
き
瓔珞
(
やうらく
)
を
輝
(
かゞや
)
かして
舞
(
ま
)
へば、
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
の
薄
(
すゝき
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
きつゝ、やがて
月
(
つき
)
明
(
あきら
)
かに
出
(
い
)
づ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
友染
(
いうぜん
)
の着物に
白茶錦
(
しらちやにしき
)
の帯を
矢
(
や
)
の
字
(
じ
)
結
(
むす
)
びにして、まだ小い頃から
蝶々髷
(
てふ/\まげ
)
やら
桃割
(
もゝわれ
)
を
結
(
ゆ
)
つて、銀の
薄
(
すゝき
)
の
簪
(
かんざし
)
などを挿して
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
崖
(
がけ
)
は
秋
(
あき
)
に
入
(
い
)
つても
別
(
べつ
)
に
色
(
いろ
)
づく
樣子
(
やうす
)
もない。たゞ
青
(
あを
)
い
草
(
くさ
)
の
匂
(
にほひ
)
が
褪
(
さ
)
めて、
不揃
(
ぶそろ
)
にもぢや/\する
許
(
ばかり
)
である。
薄
(
すゝき
)
だの
蔦
(
つた
)
だのと
云
(
い
)
ふ
洒落
(
しやれ
)
たものに
至
(
いた
)
つては
更
(
さら
)
に
見當
(
みあた
)
らない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
相川は重箱を
提
(
さ
)
げて、孝助殿気を付けて
行
(
ゆ
)
けと云いながら参りますると、向うより
薄
(
すゝき
)
だゝみを押分けて、
血刀
(
ちがたな
)
を提げ飛出して、物をも云わず孝助に斬り掛けました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
野川
(
のがは
)
の
薄
(
すゝき
)
に
留
(
とヲま
)
つた
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
落
(
お
)
ち
落
(
お
)
ちて
森
(
もり
)
寂
(
しづか
)
に、
風
(
かぜ
)
留
(
や
)
むで
肅殺
(
しゆくさつ
)
の
氣
(
き
)
の
充
(
み
)
つる
處
(
ところ
)
、
枝
(
えだ
)
は
朱槍
(
しゆさう
)
を
横
(
よこた
)
へ、
薄
(
すゝき
)
は
白劍
(
はくけん
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
徑
(
こみち
)
は
漆弓
(
しつきう
)
を
潛
(
ひそ
)
め、
霜
(
しも
)
は
鏃
(
やじり
)
を
研
(
と
)
ぐ。
峻峰
(
しゆんぽう
)
皆
(
みな
)
將軍
(
しやうぐん
)
、
磊嚴
(
らいがん
)
盡
(
こと/″\
)
く
貔貅
(
ひきう
)
たり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
周囲には
萱
(
かや
)
やら、
薄
(
すゝき
)
やらの雑草が次第もなく生ひ茂つて水際には
河骨
(
かうほね
)
、
撫子
(
なでしこ
)
などが、やゝ濁つた水にあたらその美しい影をうつして、居るといふ光景であつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
又
一刀
(
ひとかたな
)
あびせたから惣次郎は残念と心得て、脇差の鞘ごと投げ付けました、一角がツと身を
交
(
かわ
)
すと肩の処をすれて、
薄
(
すゝき
)
の
根方
(
ねがた
)
へずぽんと刀が
突立
(
つった
)
ったから、一角は
血
(
のり
)
を拭いて鞘に収め
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
や
薄
(
すゝき
)
の
上
(
うへ
)
をすらすらと、すぐに
修善寺
(
しゆぜんじ
)
へついて、
菖蒲湯
(
あやめのゆ
)
に
抱
(
だ
)
かれるやうな、
優
(
やさ
)
しいのではない。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
堤防の下には、
処々
(
ところ/\
)
に
茅葺
(
かやぶき
)
屋根が見える。汚ない水たまりがあつて、
其処
(
そこ
)
に白く
塵埃
(
ほこり
)
に
塗
(
まみ
)
れた
茅
(
かや
)
や
薄
(
すゝき
)
が生えて
居
(
ゐ
)
る。日影のキラキラする夏の午後の空に、起伏した山の
皺
(
しわ
)
が
明
(
あきら
)
かに
印
(
いん
)
せられた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
それに
親父
(
おやぢ
)
が金属の
彫刻師
(
ほりし
)
だものですから、
盃
(
さかづき
)
、香炉、
最
(
も
)
う
目貫縁頭
(
めぬきふちがしら
)
などはありませんが、其仕事をさせる積りだつたので、絵を習へと云ふので少しばかりネ、
薄
(
すゝき
)
、
蘭
(
らん
)
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
例年
(
れいねん
)
だと、その
薄
(
すゝき
)
を、
高樓
(
たかどの
)
——もちとをかしいが、この
家
(
いへ
)
で
二階
(
にかい
)
だから
高
(
たか
)
いにはちがひない。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
龍虎梅竹
(
りうこばいちく
)
、
玉堂富貴
(
ぎよくだうふつき
)
、ナソレ
牡丹
(
ぼたん
)
に
芍藥
(
しやくやく
)
、
薄
(
すゝき
)
に
蘭
(
らん
)
、
鯉
(
こひ
)
の
瀧登
(
たきのぼ
)
りがと
云
(
い
)
ふと、
鮒
(
ふな
)
が
索麺
(
さうめん
)
を
食
(
く
)
つて、
柳
(
やなぎ
)
に
燕
(
つばめ
)
を、
倒
(
さかさま
)
に
懸
(
か
)
けると、
蘆
(
あし
)
に
雁
(
がん
)
とひつくりかへる……ヨイ/\と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
でさ。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
箱根
(
はこね
)
で
煙草
(
たばこ
)
をのんだらうと、
笑
(
わら
)
ひですんだから
好
(
い
)
いものの、
薄
(
すゝき
)
に
月
(
つき
)
は
澄
(
すみ
)
ながら、
胸
(
むね
)
の
動悸
(
どうき
)
は
靜
(
しづ
)
まらない。あいにくとまた
停電
(
ていでん
)
で、
蝋燭
(
らふそく
)
のあかりを
借
(
か
)
りつゝ、
燈
(
ともしび
)
と
共
(
とも
)
に
手
(
て
)
がふるふ。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
廂
(
ひさし
)
破
(
やぶ
)
れ、
軒
(
のき
)
漏
(
も
)
るにつけても、
光
(
ひか
)
りは
身
(
み
)
に
沁
(
し
)
む
月影
(
つきかげ
)
のなつかしさは、せめて
薄
(
すゝき
)
ばかりも
供
(
そな
)
へようと、
大通
(
おほどほ
)
りの
花屋
(
はなや
)
へ
買
(
か
)
ひに
出
(
だ
)
すのに、こんな
時節
(
じせつ
)
がら、
用意
(
ようい
)
をして
賣
(
う
)
つてゐるだらうか。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に
休
(
いこ
)
ひ
打眺
(
うちなが
)
むれば、
客
(
きやく
)
幾組
(
いくくみ
)
、
高帽
(
たかばう
)
の
天窓
(
あたま
)
、
羽織
(
はおり
)
の
肩
(
かた
)
、
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
、
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
、
薄
(
すゝき
)
に
見
(
み
)
え、
萩
(
はぎ
)
に
隱
(
かく
)
れ、
刈萱
(
かるかや
)
に
搦
(
から
)
み、
葛
(
くず
)
に
絡
(
まと
)
ひ、
芙蓉
(
ふよう
)
にそよぎ、
靡
(
なび
)
き
亂
(
みだ
)
れ、
花
(
はな
)
を
出
(
い
)
づる
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
に
入
(
い
)
る
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
をめぐる
人
(
ひと
)
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こつさいりんしんかとて
柴
(
しば
)
をかつぎて、
※
(
あね
)
さん
被
(
かぶ
)
りにしたる
村里
(
むらざと
)
の
女房
(
にようばう
)
、
娘
(
むすめ
)
の、
朝
(
あさ
)
疾
(
と
)
く
町
(
まち
)
に
出
(
い
)
づる
状
(
さま
)
は、
京
(
きやう
)
の
花賣
(
はなうり
)
の
風情
(
ふぜい
)
なるべし。
六
(
むつ
)
ツ
七
(
なゝ
)
ツ
茸
(
きのこ
)
を
薄
(
すゝき
)
に
拔
(
ぬ
)
きとめて、
手
(
て
)
すさみに
持
(
も
)
てるも
風情
(
ふぜい
)
あり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
苫
(
とま
)
を
且
(
か
)
つ
覆
(
おほ
)
うて、
薄
(
すゝき
)
の
穗
(
ほ
)
も
靡
(
なび
)
きつゝ、
旅店
(
りよてん
)
の
午
(
ご
)
は
靜
(
しづか
)
に、
蝉
(
せみ
)
も
鳴
(
な
)
かない。
十和田の夏霧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
熟
(
じつ
)
と
視詰
(
みつ
)
めて、
茫乎
(
ぼんやり
)
すると、
並
(
なら
)
べた
寐床
(
ねどこ
)
の、
家内
(
かない
)
の
枕
(
まくら
)
の
両傍
(
りやうわき
)
へ、する/\と
草
(
くさ
)
が
生
(
は
)
へて、
短
(
みじか
)
いのが
見
(
み
)
る/\
伸
(
の
)
びると、
蔽
(
おほ
)
ひかゝつて、
萱
(
かや
)
とも
薄
(
すゝき
)
とも
蘆
(
あし
)
とも
分
(
わか
)
らず……
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
へ
掻巻
(
かいまき
)
がスーと
消
(
き
)
える
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
青
(
あを
)
い
薄
(
すゝき
)
で
引結
(
ひきむす
)
んで、
螢
(
ほたる
)
を
包
(
つゝ
)
んで
提
(
さ
)
げて
居
(
ゐ
)
た。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
萩
(
はぎ
)
暮
(
く
)
れて
薄
(
すゝき
)
まばゆき
夕日
(
ゆふひ
)
かな
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
“薄”を含む語句
薄暗
薄明
薄暮
薄氷
薄笑
薄命
薄紅
薄倖
薄紗
薄荷
薄情
薄衣
薄闇
薄汚
薄化粧
薄茶
薄気味
薄穢
薄光
薄墨
...