久良くら)” の例文
一政の成人まではどんなことがあっても久良くらの家を出ないと、頑強にはねつけた、これは父にとって少からず意外だったらしい。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あるじの善七が考えていると、そのまに、四国屋のお久良くらと手代の新吉は、案内もなしに奥の廊下へバタバタと走りこんでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鐵之助は喧嘩早さうな猛烈な男でしたが、昨夜すつかり儲けて良い心持になつて居り、お久良くらの殺されたことにも、あまり關心は持つて居ない樣子です。
四国屋の前へ着くと、お米は、阿波での顔見知りである、ここのお久良くらを思いだして、店の者に取次いで貰った。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「な、何んて言ひ草だ。お前の主人が飼つて居る妾のお久良くらが、昨夜人手にかゝつて殺されたんだぜ」
井上一郎、久良くら啓吉、高野千之、荒木清と云って、みんな中村家とは親族関係の者だが、——志津子には四人の青年たちが何を目的に此処ここへ来ているかよく分っていた。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
途方にくれた様子で、そこにいた内儀と手代風の男は、先頃、和田峠でも人違いをされて、諏訪すわ会田屋あいだやへ逃げこんだ四国屋のお久良くらと手代の新吉であった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この家ですよ親分、阿倍川町のお久良くらと言へば大した女ださうで、すぐわかつてしまひました」
家具や調度の物のあんばい、お家様の部屋らしいが、籠行燈かごあんどんは墨のような色をしてお久良くらも誰もいなかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは弦之丞がお吉に残していった手紙から、体が本復するとすぐに四国屋のお久良くらをたずねた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこでも、お久良くらとは裏縁の立ち話で用向きだけを告げるとまたすぐに、忙しそうに出て行った。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「徳島の御城下と大阪表に出店のある、四国屋のお久良くら様、たしか、そういったと思います」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四国屋のお久良くらは、手代の新吉が心からの諫言いさめを決してうわの空に聞いてはいなかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういっているのは四国屋のお久良くら
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)