くら)” の例文
最早日影も薄暗く蔭つた時刻のやうに思はれる。どことなく、夕方の蔭が見る/\仄くらく襲うて來るやうな心持がする。冷吉はいつまでかうして待てばいゝのだらうと考へた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
住職はそれから女と喬生を西門の外へ葬ったが、その後、雨曇りの日とか月のくらい晩とかには、牡丹燈をけた少女を連れた喬生と麗卿の姿が見えて、それを見た者は重い病気になった。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかし、そうしたくらい影とは別に、黒吉の技倆は、ぐんぐん上達して行った。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)