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くら
ふりがな文庫
“
庫
(
くら
)” の例文
ランプシニトスは非常に富裕な王様で、莫大な銀を貯えていたが、それを安全に保管するために、宮殿に接して石の
庫
(
くら
)
を建てさせた。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのうちに、城中の軍資を入れてある
庫
(
くら
)
のなかから銀数百両と銭数千
緡
(
びん
)
が紛失したことが発見されて、その賊の詮議が厳重になった。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
どうせすぐ近所に祈祷が洩れ聞こえるやうな人里の中で彼等は集まりはしませんからね。いつも大抵茂木のはづれにある醤油屋の
庫
(
くら
)
を
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
そしてまた
燕青
(
えんせい
)
は、わしに代って、
庫
(
くら
)
の
鍵
(
かぎ
)
をあずかり、よく家事一切の留守をかたくして欲しいと、
縷々
(
るる
)
、言い渡しを、言い渡した。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「今度内藤に逢つたら、何でも一つ
庫
(
くら
)
を建てるやうに勧めてやらう、
庫
(
くら
)
さへあつたら安心して支那の事が心配出来るんだからな。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
たしか「少年文学」と称する
叢書
(
そうしょ
)
があって「
黄金丸
(
こがねまる
)
」「
今弁慶
(
いまべんけい
)
」「宝の山」「宝の
庫
(
くら
)
」などというのが魅惑的な
装幀
(
そうてい
)
に飾られて続々出版された。
読書の今昔
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お庄は蒲団や
寝衣
(
ねまき
)
を持ち出して
手擦
(
てす
)
りにかけながら、水に影の浸った灰問屋の
庫
(
くら
)
が並んだ向う
河岸
(
がし
)
をぼんやり眺めていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
公卿
(
くげ
)
、町人——総がかりで隠居隠居と、わしを持てはやし、さまざまな
音物
(
いんもつ
)
が、一日として新しく、わしの
庫
(
くら
)
を充たさぬということもないのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
橋から橋へ、河岸の
庫
(
くら
)
の片暗がりを遠慮らしく片側へ寄って、売残りの草花の中に、蝶の夢には、野末の一軒家の
明窓
(
あかりまど
)
で、かんてらの火を置いた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是
(
これ
)
等青年詩人の詩で多数の若い詩人の間に愛誦せられる物も稀にあるが、大抵は世に知られずに古本屋の
庫
(
くら
)
の隅に葬られて
仕舞
(
しま
)
ふ運命を
有
(
も
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その
宝庫
(
たからぐら
)
には強そうな兵隊がチャンと番をしておりまして、その
庫
(
くら
)
の奥にある大きな鉄の宝箱の中に立派な鉄砲が一梃ちゃんと立てかけてありました。
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
庫
(
くら
)
の荷をはたいて急場を
凌
(
しの
)
ごう、さもなければ
暖簾
(
のれん
)
をおろすよりしようがねえ、こう、うちあけてお云いなすった。
夜の蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「恐れながら殿様には
餞別
(
せんべつ
)
としてこの国の
庫
(
くら
)
に積んであるお金を何程でも御礼として差上げたうございますから御入用だけ
仰
(
おほ
)
せ付け下さりますやう。」
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
其處
(
そこ
)
で
廷丁
(
てい/\
)
は石を
庫
(
くら
)
に入んものと
抱
(
だ
)
き
上
(
あげ
)
て二三歩
歩
(
ある
)
くや手は
滑
(
すべ
)
つて石は
地
(
ち
)
に
墮
(
お
)
ち、
碎
(
くだ
)
けて
數
(
すう
)
十
片
(
ぺん
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
轍
(
わだち
)
の跡が入り乱れている道であった。その小さい原を横切って行く行手に、もう一つ木柵が引廻されていて、その中に、詰所と、白い
庫
(
くら
)
とが、並んでいた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
とう/\
庫
(
くら
)
に来て、水兵がエツヰを見出したところを猿に指さして見せると、猿の黒い目に恐怖の色が現はれた。そして猿は祈祷をするやうに両手を合せた。
猿
(新字旧仮名)
/
ジュール・クラルテ
(著)
ある家になると
庫
(
くら
)
はもとより長屋門、
母家
(
おもや
)
、
納屋
(
なや
)
、物置等一切をこの石屋根で葺いたのがあって見て堂々たる姿である。その様式は他に類がないから甚だ目立つ。
野州の石屋根
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
隱し念佛はお
庫
(
くら
)
念佛といふぐらゐだ。上總屋は小さい孫二人をその日
新發意
(
しんぼち
)
(自己
催眠
(
さいみん
)
になる一種の得道)にするつもりで、晴着を着せて土藏の中へ呼んだのだ。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宝物
庫
(
くら
)
から飛び出したのは他ならぬ閣下の甥御です。甥御は其時耳飾を掴んで飛び出して来たのでございます。そして閣下を突き倒して置いて走り去ったのでございます。
闘牛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一手は手を
揃
(
そろ
)
えてできるだけのたきだしをしてくれ給え、それから、有らん限りの米を積下ろしてくれ給え、
庫
(
くら
)
には三日分ほどの量を残して置けばよろしい、それから最近
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
爾れば春子は塔の境内に宝物
庫
(
くら
)
を建て、一先ず彼の十七有個の箱を塔から取り出して之を納め、第一号の家珍は子孫へ伝える事とし、金銀は全英国の慈善事業総体へ寄附し猶欧洲大陸
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
邵大尉
(
しょうたいい
)
の
庫
(
くら
)
の金で、盗まれた金なのだ、庫の内へ入れてあった金が、五十錠無くなっているのだ、封印はそのままになってて、内の金が無くなっているのだ、
臨安府
(
りんあんふ
)
では五十両の賞をかけて
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
金銀財宝さては家
庫
(
くら
)
に心ひかされてかといふに、これはまたあるべき事か、それよりももつと大事の大事の妻のお糸にしばしだも離るるがつらさにとは、思ひの外なる事もあればあるものかな。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
庫
(
くら
)
の石段の下でごはんを食べるのが一ばん好きで、たけに
昔噺
(
むがしこ
)
語らせて、たけの顔をとつくと見ながら一匙づつ養はせて、手かずもかかつたが、
愛
(
め
)
ごくてなう、それがこんなにおとなになつて
津軽
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
終夜の旅を終へて眠りの
庫
(
くら
)
に入らうとする車達の入り乱れた響きを脚下に感じながら八重洲口へ向ふ長い歩廊の窓から、さて私が、これから八日の間、見聞の眼を虎のやうに視張つて訪問する筈の
日本橋
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
部屋中の静かなことは石炭の
庫
(
くら
)
の如く
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さしもの幕府の
庫
(
くら
)
の金塊も、放漫な経理と、将軍綱吉や、その生母
桂昌院
(
けいしょういん
)
の湯水のごとき浪費とで、近年は
涸渇
(
こかつ
)
に
瀕
(
ひん
)
してきたのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
庫
(
くら
)
をさがすと、宝物珍品が山のように積まれていて、およそ人世の珍とする物は備わらざるなしという有様であった。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その人の
庫
(
くら
)
なんぞを荒したら、並大ていのことじゃあ済みませんぜ。遠島者か、首斬り台にすわらなけりゃあならねえ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
これ
庫
(
くら
)
の
七戸前
(
ななとまえ
)
も
嘗
(
な
)
めた口で、何だい、その言い
種
(
ぐさ
)
は、こう源坊、若い
中
(
うち
)
だぜ、
年紀
(
とし
)
は取るもんじゃあねえの。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋をわたって、裏の
庫
(
くら
)
の方へゆく、主人の
筒袖
(
つつそで
)
を着た物腰の
細
(
ほっそ
)
りした姿が、硝子戸ごしにちらと見られた。お島は今朝から、まだ一度もこの主人の顔を見なかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さんざん揉み抜いた揚句、公沙汰になって、公儀役人が八王子の屋敷へ乗込んで調べると、驚いたことに、屋敷の
庫
(
くら
)
も、石見守が生前役得として取込んだ金銀珠玉の山だ。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
まあ聞いてくれ、斯うなんだよ……今夕私は陛下に召されて、陛下のご座所で二時間ほどお話を申し上げて罷り出たが、宝物
庫
(
くら
)
の前まで来ると庫の
扉
(
と
)
が開いているじゃないか。
闘牛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それからね……妾はしかたがありませんから、
宝物
(
たからもの
)
の
庫
(
くら
)
のところへ連れて行ったら、黒い腕で錠前を引き切って中の宝物をすっかり運び出して、お城の外へ持って行ってしまったのですよ」
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
酒屋の
庫
(
くら
)
のうら通り
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
従って、ここの領主の
内福
(
ないふく
)
なことも分るし、武器の
庫
(
くら
)
には、槍鉄砲がいつでも
研
(
みが
)
きぬいてあるだろうという想像もつく
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の大小はお里の着物や帯と入れ替えにして、無事に質屋の
庫
(
くら
)
から請け出されていた。お里の顔には母をうしなった悲しみの色がもうぬぐわれていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「黒いいでたちをしておりましたが、とっさに逃亡いたしましたゆえ、ハッキリとは見分けられませず——何でも、お
庫
(
くら
)
を狙っていたように見うけました」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
帰
(
けえ
)
ったら何か持たして
寄越
(
よこ
)
さあ、邸でも、
庫
(
くら
)
でも欲しかあ上げよう、こいつあ、後生だから堪忍しねえ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
好きで、自分の居間に掛けるつもりで買つた品だといふことですが、物が良いので世間の評判になつて、近頃では寺寳の一つになり、滅多に
庫
(
くら
)
から出さないことにしてをります
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
本家が銀行から差押えを喰って、ぴたぴた
庫
(
くら
)
を封ぜられ、若い
主
(
あるじ
)
が取り詰めたようになって気の狂い出したという消息の伝わったのは、お庄が行ってから間もないことであった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それは大変と、てんでに宝庫に駈け付けて調べて見ますと、番兵も
庫
(
くら
)
の鍵もチャンとしていながら、中の刀と鉄砲だけ無くなっています。そうしてもとの鉄砲と刀とあったところに、どちらにも
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
これに反して洞院左膳は、お側に
侍
(
はべ
)
ってはお太鼓を叩き、美しゅうござるの
艶
(
あでや
)
かでござるのと鳰鳥殿ばかりを
褒
(
ほ
)
めているので、今日も拝領、昨日も拝領、拝領の太刀や絹巻物で
庫
(
くら
)
が
建
(
た
)
たるという全盛。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
佐々木定綱、盛綱、高綱の兄弟三人は、主とわかれて、ひそかに、渋谷庄司重国の館を訪ねてゆくと、重国は、兄弟を
庫
(
くら
)
の中に
匿
(
かくま
)
い、食事をすすめて
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手届きて人の奪うべくもあらねば、町の外れなる酒屋の
庫
(
くら
)
と
観世物
(
みせもの
)
小屋の間に住めりと人々の言いあえる、恐しき
野衾
(
のぶすま
)
の来て
攫
(
さら
)
えて
行
(
ゆ
)
くと、われはおさなき心に思いき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、どうして持ち出されたのか、その碁盤だけは無事に残っていて、それからそれへと
好事家
(
こうずか
)
の手に渡ったのちに、深川六間堀の柘榴伊勢屋という質屋の
庫
(
くら
)
に納まっていました。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だつて親分に
風邪
(
かぜ
)
を引かしちや大變でせう。向柳原のあつしの家の方が近いけれど、自分の家へ歸つたところで、筋の通つた着物は皆んなお
庫
(
くら
)
に入つてゐるからろくなものはありやしません。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(官庫へおいで、官庫へおいで、切支丹屋敷のある
庫
(
くら
)
を
開
(
あ
)
ければ、無限に
金目
(
かねめ
)
な物があるじゃないか、そこはお前もよく勝手を知っている場所じゃないか)
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの酒屋の
庫
(
くら
)
と、
観世物
(
みせもの
)
小屋の間まで、わが家より半町ばかり隔りし。
真中
(
まんなか
)
に古井戸一ツありて、雑草の生い茂りたる
旧
(
もと
)
空地なりしに、その小屋出来たるは、もの心覚えし後なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
質物
(
しちもつ
)
は預かり物ですから、
庫
(
くら
)
にしまって大切にして置くべきですが、物が珍らしいので薄馬鹿の辰公がそっと持ち出した。いや、辰公ばかりでなく、それをおだてた奴がほかにあるんです。
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“庫”の解説
庫または厙(こ、しゃ)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の371番目。
きわめて珍しい姓である。
(出典:Wikipedia)
庫
常用漢字
小3
部首:⼴
10画
“庫”を含む語句
倉庫
庫裡
車庫
書庫
金庫
宝庫
酒庫
兵庫
文庫
立兵庫
武庫
格納庫
武庫川
兵庫頭
炭庫
神庫
貯蔵庫
庫裡様
庫造
庫車
...