“庫:くら” の例文
“庫:くら”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治8
岡本綺堂5
泉鏡花4
野村胡堂4
与謝野晶子2
“庫:くら”を含む作品のジャンル比率
文学 > 中国文学 > 小説 物語2.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
橋をわたって、裏のくらの方へゆく、主人の筒袖つつそでを着た物腰のほっそりした姿が、硝子戸ごしにちらと見られた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
見ると、戦時なので、煙硝箱えんしょうばこも、つみだしてあるし、くらの戸も、観音かんのんびらきにいている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのくらをさがすと、宝物珍品が山のように積まれていて、およそ人世の珍とする物は備わらざるなしという有様であった。
けえったら何か持たして寄越よこさあ、邸でも、くらでも欲しかあ上げよう、こいつあ、後生だから堪忍しねえ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ランプシニトスは非常に富裕な王様で、莫大な銀を貯えていたが、それを安全に保管するために、宮殿に接して石のくらを建てさせた。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
室内は、書物で埋まっていた。机のまわり、壁の書棚、二のも二階も、書物のくらになっているらしく思われる。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは大変と、てんでに宝庫に駈け付けて調べて見ますと、番兵もくらの鍵もチャンとしていながら、中の刀と鉄砲だけ無くなっています。
奇妙な遠眼鏡 (新字新仮名) / 夢野久作香倶土三鳥(著)
とう/\くらに来て、水兵がエツヰを見出したところを猿に指さして見せると、猿の黒い目に恐怖の色が現はれた。
(新字旧仮名) / ジュール・クラルテ(著)
そのうちに、城中の軍資を入れてあるくらのなかから銀数百両と銭数千びんが紛失したことが発見されて、その賊の詮議が厳重になった。
お庄は蒲団や寝衣ねまきを持ち出して手擦てすりにかけながら、水に影の浸った灰問屋のくらが並んだ向う河岸がしをぼんやり眺めていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「黒いいでたちをしておりましたが、とっさに逃亡いたしましたゆえ、ハッキリとは見分けられませず——何でも、おくらを狙っていたように見うけました」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
橋から橋へ、河岸のくらの片暗がりを遠慮らしく片側へ寄って、売残りの草花の中に、蝶の夢には、野末の一軒家の明窓あかりまどで、かんてらの火を置いた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
佐々木定綱、盛綱、高綱の兄弟三人は、主とわかれて、ひそかに、渋谷庄司重国の館を訪ねてゆくと、重国は、兄弟をくらの中にかくまい、食事をすすめて、
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その宝庫たからぐらには強そうな兵隊がチャンと番をしておりまして、そのくらの奥にある大きな鉄の宝箱の中に立派な鉄砲が一梃ちゃんと立てかけてありました。
奇妙な遠眼鏡 (新字新仮名) / 夢野久作香倶土三鳥(著)
彼の大小はお里の着物や帯と入れ替えにして、無事に質屋のくらから請け出されていた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これ等青年詩人の詩で多数の若い詩人の間に愛誦せられる物も稀にあるが、大抵は世に知られずに古本屋のくらの隅に葬られて仕舞しまふ運命をつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さしもの幕府のくらの金塊も、放漫な経理と、将軍綱吉や、その生母桂昌院けいしょういんの湯水のごとき浪費とで、近年は涸渇こかつひんしてきたのである。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(官庫へおいで、官庫へおいで、切支丹屋敷のあるくらければ、無限に金目かねめな物があるじゃないか、そこはお前もよく勝手を知っている場所じゃないか)
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの酒屋のくらと、観世物みせもの小屋の間まで、わが家より半町ばかり隔りし。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
従って、ここの領主の内福ないふくなことも分るし、武器のくらには
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本家が銀行から差押えを喰って、ぴたぴたくらを封ぜられ、若いあるじが取り詰めたようになって気の狂い出したという消息の伝わったのは、お庄が行ってから間もないことであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其處そこ廷丁てい/\は石をくらに入んものとあげて二三歩あるくや手はすべつて石はち、くだけてすうぺんになつてしまつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二人の士が、先にたった。わだちの跡が入り乱れている道であった。その小さい原を横切って行く行手に、もう一つ木柵が引廻されていて、その中に、詰所と、白いくらとが、並んでいた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
しかし、どうして持ち出されたのか、その碁盤だけは無事に残っていて、それからそれへと好事家こうずかの手に渡ったのちに、深川六間堀の柘榴伊勢屋という質屋のくらに納まっていました。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たしか「少年文学」と称する叢書そうしょがあって「黄金丸こがねまる」「今弁慶いまべんけい」「宝の山」「宝のくら」などというのが魅惑的な装幀そうていに飾られて続々出版された。
読書の今昔 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
手届きて人の奪うべくもあらねば、町の外れなる酒屋のくら観世物みせもの小屋の間に住めりと人々の言いあえる、恐しき野衾のぶすまの来てさらえてくと、われはおさなき心に思いき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それからね……妾はしかたがありませんから、宝物たからものくらのところへ連れて行ったら、黒い腕で錠前を引き切って中の宝物をすっかり運び出して、お城の外へ持って行ってしまったのですよ」
オシャベリ姫 (新字新仮名) / 夢野久作かぐつちみどり(著)
部屋中の静かなことは石炭のくらの如く、
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「どうせすぐ近所に祈祷が洩れ聞こえるやうな人里の中で彼等は集まりはしませんからね。いつも大抵茂木のはづれにある醤油屋のくらを彼等は密会所にしてゐます。行つて御覧なさい。もうそろ/\始めてゐる時分です。」
「先代——いや先々代の住職がこんなものを好きで、自分の居間に掛けるつもりで買つた品だといふことですが、物が良いので世間の評判になつて、近頃では寺寳の一つになり、滅多にくらから出さないことにしてをります」
「恐れながら殿様には餞別せんべつとしてこの国のくらに積んであるお金を何程でも御礼として差上げたうございますから御入用だけおほせ付け下さりますやう。」と大蔵大臣は地べたへ頭をりつけて伺ひました。
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
酒屋のくらのうら通り、
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
さるはかねてより執着深き庄太郎の、金銀財宝さては家くらに心ひかされてかといふに、これはまたあるべき事か、それよりももつと大事の大事の妻のお糸にしばしだも離るるがつらさにとは、思ひの外なる事もあればあるものかな。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
ちょこちょこと、くらのなかへはいった竹童は、れいの松明たいまつに、火をつけて、まン中におき、藁縄わらなわ綱火つなびが火をさそうとともに、このなかの煙硝箱えんしょうばこが、いちじに爆発するようにしかけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなことがあったら一大事——あれが、お側にいるというので、大名、旗本、公卿くげ、町人——総がかりで隠居隠居と、わしを持てはやし、さまざまな音物いんもつが、一日として新しく、わしのくらを充たさぬということもないのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
これから旅へ向はうとする気色ばんだ汽関車、終夜の旅を終へて眠りのくらに入らうとする車達の入り乱れた響きを脚下に感じながら八重洲口へ向ふ長い歩廊の窓から、さて私が、これから八日の間、見聞の眼を虎のやうに視張つて訪問する筈の
日本橋 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
夏子が生きて居れば長三の権利さえ権利とは云われぬ質の権利で有った、爾れば春子は塔の境内に宝物くらを建て、一先ず彼の十七有個の箱を塔から取り出して之を納め、第一号の家珍は子孫へ伝える事とし、金銀は全英国の慈善事業総体へ寄附し猶欧洲大陸
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「これくら七戸前ななとまえめた口で、何だい、その言いぐさは、こう源坊、若いうちだぜ、年紀としは取るもんじゃあねえの。ここに居る婆さんは、これでも仲じゃあくずの葉といってその昔は売ったもんだ、ずうっとそれ、」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この金は、邵大尉しょうたいいくらの金で、盗まれた金なのだ、庫の内へ入れてあった金が、五十錠無くなっているのだ、封印はそのままになってて、内の金が無くなっているのだ、臨安府りんあんふでは五十両の賞をかけて、その盗人を探索しているところなのだ
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
じいの身も、ここ十年の余、今川家の一役人に異ならず、賦税ふぜいの取り立てを役目として、牛馬のような勤めをいたしておりますが、年来、忍び忍び心がけて、おくらの内には、爺が御被官ごひかんの眼をぬすんで蓄えておいた粮米ろうまいや金銭がござりますぞ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妾から早速七万両の金を引渡すように総領の藤十郎とうじゅうろうに迫ったが、藤十郎はそれを聴き容れない。さんざん揉み抜いた揚句、公沙汰になって、公儀役人が八王子の屋敷へ乗込んで調べると、驚いたことに、屋敷のくらも、石見守が生前役得として取込んだ金銀珠玉の山だ。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お前は、ぱたぱた歩いてはころび、ぱたぱた歩いてはころび、まだよく歩けなくて、ごはんの時には茶碗を持つてあちこち歩きまはつて、くらの石段の下でごはんを食べるのが一ばん好きで、たけに昔噺むがしこ語らせて、たけの顔をとつくと見ながら一匙づつ養はせて、手かずもかかつたが
津軽 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
これに反して洞院左膳は、お側にはべってはお太鼓を叩き、美しゅうござるのあでやかでござるのと鳰鳥殿ばかりをめているので、今日も拝領、昨日も拝領、拝領の太刀や絹巻物でくらたるという全盛。いかな無欲のこのわしでも、うらやましくもなろうではないか。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あの日上總屋の土藏の中で、隱し念佛を開帳して居たのだな。隱し念佛はおくら念佛といふぐらゐだ。上總屋は小さい孫二人をその日新發意しんぼち(自己催眠さいみんになる一種の得道)にするつもりで、晴着を着せて土藏の中へ呼んだのだ。母親も附いて行かなかつたのはその爲ぢやないか」
かのズウフラも通辞役つうじやくの人にくれたのを、その人が何かの都合で質に入れたというわけです。質物しちもつは預かり物ですから、くらにしまって大切にして置くべきですが、物が珍らしいので薄馬鹿の辰公がそっと持ち出した。いや、辰公ばかりでなく、それをおだてた奴がほかにあるんです。
「だが、内藤(湖南)のうち剣呑けんのんだな、あすこの二階には俺とこ以上にぎつしり書物ほんが詰まつてるんだからな。」と眼をぱちくりさせながら天井を見つめてゐたが、「今度内藤に逢つたら、何でも一つくらを建てるやうに勧めてやらう、くらさへあつたら安心して支那の事が心配出来るんだからな。」
「だつて親分に風邪かぜを引かしちや大變でせう。向柳原のあつしの家の方が近いけれど、自分の家へ歸つたところで、筋の通つた着物は皆んなおくらに入つてゐるからろくなものはありやしません。どうせ一と伸しだと思つて、明神下まで飛んで行きました。これがあはせにこれが帶、手拭と掛替への煙草たばこ入と、——」
その夜、立ち帰ると、一封の書状をしたためて、寿亭侯じゅていこうの印と共に、くらの内にかけておき、なお庫内いっぱいにある珠玉金銀のはこ襴綾種々らんりょうくさぐさ緞匹だんひつこり、山をなす名什宝器めいじゅうほうきなど、すべての品々には、いちいち目録を添えてのこし、あとをかたく閉めてから、
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君たち、一手は手をそろえてできるだけのたきだしをしてくれ給え、それから、有らん限りの米を積下ろしてくれ給え、くらには三日分ほどの量を残して置けばよろしい、それから最近、長浜で両替をしてきた銭の全部を出して庭へ積んでくれ給え、その数量は拙者が行って読むから、それが済んだら、直ちにそれを馬と車とに積めるだけ積んで、麓へ下って、春照の火の見の下に待機しているんだ。