“手擦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
てず38.5%
てずれ23.1%
てす15.4%
てすり15.4%
カンニュウ7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ところどころに書入のしてある古く手擦てずれた革表紙の本だ。読みさしの哥林多コリンタ前書の第何章かが机の上に開けてある。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それ、貴下あなたから預かっているも同然な品なんだから、出入れには、自然、指垢ゆびあか手擦てずれ、つい汚れがちにもなりやしょうで、見せぬと言えば喧嘩けんかになる……弱るの何んの。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お庄は蒲団や寝衣ねまきを持ち出して手擦てすりにかけながら、水に影の浸った灰問屋のくらが並んだ向う河岸がしをぼんやり眺めていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼は椅子の手擦てすりもたせた隻手かたての甲の上に、口元に黄金きんを光らしたほおななめに凭せるようにしていた。と、時計が九時を打った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
多分これは昔の御縁組みの時のお飾り道具にお用い遊ばしたものと存じますが……その証拠には手擦カンニュウがあまり御座いませんので……お模様も宝づくしで御座いますから……
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)