手擦てす)” の例文
お庄は蒲団や寝衣ねまきを持ち出して手擦てすりにかけながら、水に影の浸った灰問屋のくらが並んだ向う河岸がしをぼんやり眺めていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
落着きもなく手擦てすぎわへ出て庭を眺めたり、額や掛け物を見つめたりしていたが、階下したに飼ってある小禽ことりかすかな啼き声が、わびしげに聞えて来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「この家でみんなに思わるれば、お庄さんも幸福しあわせだよ。婿さんは若くてうぶだし、物はあるしさ。」と、従姉あね手擦てすりにもたれていながらうらやましそうに言った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)