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手擦
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てすり
彼は椅子の
手擦へ
凭せた
隻手の甲の上に、口元に
黄金を光らした
頬を
斜に凭せるようにしていた。と、時計が九時を打った。
小野さんは橋の
手擦に背を
靠たせたまま、
内隠袋から例の通り銀製の煙草入を出してぱちりと
開けた。
箔を置いた
埃及煙草の吸口が奇麗に並んでいる。
小野さんは
両肘を鉄の
手擦に
後から持たして、
山羊仔の靴を心持前へ出した。煙草を
啣えたまま、眼鏡越に爪先の飾を
眺めている。
遅日影長くして光を惜まず。