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昧
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くら
ふりがな文庫
“
昧
(
くら
)” の例文
故
(
ゆえ
)
に著者にとってはいやしくも正理を
昧
(
くら
)
ます一切は——自分であっても他人であっても——
悉
(
ことごと
)
く致命的にやっつけねば気がすまないのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
諸手
(
もろて
)
をば
縛
(
いまし
)
められたり。我
身上
(
みのうへ
)
は今や
獵夫
(
さつを
)
に獲られたる獸にも劣れり。されど憂に心
昧
(
くら
)
みたる上なれば、苦しとも思はでせくゞまり居たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
心得たる男なれば宅兵衞が
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひ持たる
太刀
(
たち
)
を打落し
痿
(
ひる
)
む處を
續
(
つゞ
)
け打に
面
(
おもて
)
を
目掛
(
めがけ
)
て討ければ宅兵衞は
眼
(
まなこ
)
昧
(
くら
)
みて
蹌踉
(
よろめく
)
を吾助は得たりと落たる刀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
鹿沼のネムッタ流しは七日の夜明方であった。
昧
(
くら
)
いうちから起きて子供らが水を浴びる。こうすると病気にかからぬといっている(山口貞夫君話)。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今の心の
状
(
さま
)
を察するに、
譬
(
たと
)
えば酒に酔ッた如くで、気は
暴
(
あれ
)
ていても、心は妙に
昧
(
くら
)
んでいるゆえ、見る程の物聞く程の事が眼や耳やへ入ッても底の認識までは届かず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
といつて、現在の眞鍋のかうした遊びといふものが正しいのかとじつくり自問自答をしてみれば、これもやはり己靈の光輝を
昧
(
くら
)
ましてゐることに變りはないのである。
ボルネオ ダイヤ
(旧字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さらにつよく心を
惹
(
ひ
)
きてしば/\記憶を奪ふもの、彼の
智
(
さとり
)
の目を
昧
(
くら
)
ませしなるべし 一二四—一二六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
しかしまた振り返って自分等が住んでいた甲斐の国の笛吹川に添う一帯の地を望んでは、
黯然
(
あんぜん
)
としても心も
昧
(
くら
)
くなるような気持がして、しかもその
薄
(
うっ
)
すりと霞んだ
霞
(
かすみ
)
の
底
(
そこ
)
から
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先
(
ま
)
ずこの様子なら
降
(
ふ
)
りではなかろう、主人の注意と
下婢
(
かひ
)
の働きで、それぞれの準備を終り、穂高よりすぐ下山する者のためにとて、特に案内者一名を
傭
(
やと
)
い、午前の四時、まだ
昧
(
くら
)
いうち
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
心立おとなしく女に定まりし芸優れて、万に
昧
(
くら
)
からず、身に
黒子
(
ほくろ
)
一
(
ひとつ
)
も
無
(
な
)
き
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
只
餌
(
ゑ
)
の
香
(
かんば
)
しきに
昧
(
くら
)
まされて、
釣
(
つり
)
の糸にかかり身を
亡
(
うしな
)
ふ事なかれといひて、去りて見えずなりぬ。不思議のあまりにおのが身をかへり見れば、いつのまに
鱗
(
うろこ
)
金光
(
きんくわう
)
を備へてひとつの
鯉魚
(
りぎよ
)
と
化
(
け
)
しぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
真理はすでに厳然として在るのであります。ただ事情のために
昧
(
くら
)
まされているだけであります。つまり可抗力的誤解です。その例は国際間の浮説、世上の噂、個人の周囲到るところに見出されます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし
天賦
(
てんぷ
)
の能力と教養の工夫とでようやく鋭くなった兄さんの眼を、ただ落ちつきを与える目的のために、再び
昧
(
くら
)
くしなければならないという事が、人生の上においてどんな意義になるでしょうか。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かえりやどれる至理
昧
(
くら
)
からずあるものなり。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
然
(
さ
)
れば嘉川主税之助は我子の愛に
眼
(
まなこ
)
昧
(
くら
)
み終に其家名を失ふに至る事
是
(
これ
)
汝
(
なんぢ
)
に
出
(
いで
)
て汝に歸るの古言
宜
(
むべ
)
なるかな此度
伴
(
ばん
)
佐
(
すけ
)
十郎建部郷右衞門の兩人藤五郎兄弟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
農家のように
昧
(
くら
)
いうちから起きるのでなければ、この茶の子のあとで朝飯を食べ、それからまた昼のしたくをするというのは、なるほど必要もないことであったろう。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
後に思へば、われは世馴れぬ節多く、
男女
(
なんによ
)
の間の事などに
昧
(
くら
)
きは、赤子に異ならぬ程なれば、サンタの如き女に近づくことの、多少の危險あるべきを知るに由なかりしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
猛烈に諸縁を放下して專一に己事を究明することを上等となし、修業純ならず、駁雜にして學を好む、これを中等となし、自ら己靈の光輝を
昧
(
くら
)
まして、たゞ佛祖の涎唾を嗜む、これを下等といつた。
ボルネオ ダイヤ
(旧字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
昧
常用漢字
中学
部首:⽇
9画
“昧”を含む語句
昧爽
三昧
愚昧
曖昧
贅沢三昧
放蕩三昧
昧者
野三昧
念仏三昧
三昧堂
曖昧屋
盲昧
暗昧
我儘三昧
風流三昧
坐三昧
蒙昧
三昧境
刃物三昧
草昧
...