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くら
ふりがな文庫
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(
くら
)” の例文
更に面白いことには、この地変は一地点に止らず、最大隆起の場所が、活動の初期に
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(
くら
)
べて、漸次北の方へ進行して行ったのである。
天地創造の話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「なんの、なんの、丞相の
寛濶
(
かんかつ
)
な度量は、何ものにも、
較
(
くら
)
べるものはありません。誰よりも、それがしが深く知っておるつもりです」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それと僕の心持などは、
較
(
くら
)
べてゐるやうなことは無論思ひはしないんだが、
真面目
(
まじめ
)
に考へたところで、何うしたらばいゝんだらう。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
にんじん——(彼は銀貨を見せる。ルピック夫人は、自分のを見せる。にんじんは二つを手に取り、
較
(
くら
)
べてみ、いうべき文句を考える)
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一
(
ひ
)
ト月過ぎ
二
(
ふ
)
タ月
過
(
すぎ
)
ても
此
(
この
)
恨
(
うらみ
)
綿々
(
めんめん
)
ろう/\として、
筑紫琴
(
つくしごと
)
習う
隣家
(
となり
)
の
妓
(
こ
)
がうたう唱歌も我に引き
較
(
くら
)
べて絶ゆる事なく悲しきを、コロリン
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
警部は我が身を、フィラデルフィア迷路の中に
彷徨
(
ほうこう
)
しながら精神錯乱した男に
較
(
くら
)
べて、脳髄のしびれて来るのを感じたことでありました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
俳句はそれらの文芸に
較
(
くら
)
べて
各々
(
おのおの
)
短所を持っているものといえる、しかしそれと同時に俳句は他の文芸にない長所を持っている。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
較
(
くら
)
ぶればここのは大樹だ。椅子の丈は
陸
(
くが
)
の山よりも高い。そうしている貴女の姿は、夕日影の峰に、雪の消残ったようであろう。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨日の久能山の家康公の
神廟
(
しんびょう
)
に
較
(
くら
)
べると
全然
(
まるで
)
お話にならない。辻堂のような粗末なものがある丈けで、石塔は一向見えなかった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
試にある
好事家
(
こうずか
)
の望に因りて、両座の楼門を
較
(
くら
)
べ評せんに、大薩摩やら大道具やら衣裳やら、
勿論
(
もちろん
)
銭目
(
かねめ
)
だけの事はありて、明治座を勝とす。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
人間はそれに
較
(
くら
)
べると、まるで逆である。人間は、死んでから一ばん人間らしくなる、というパラドックスも成立するようだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「あなたは一本気のようでそうとう比較癖のある方らしい。僕の女性と巴里のむす子さんのと
較
(
くら
)
べて考えてらっしゃるんじゃありませんか」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
安否を
分
(
わ
)
かざりし
幾年
(
いくとせ
)
の思に
較
(
くら
)
ぶれば、はや
嚢
(
ふくろ
)
の物を
捜
(
さぐ
)
るに等しかるをと、その一筋に慰められつつも彼は日毎の
徒然
(
つれづれ
)
を憂きに堪へざる
余
(
あまり
)
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼らのなすところを米国の金持に
較
(
くら
)
ぶれば、米国人は確かに日本人のいまだ持っておらない思想なるものに動かされておることを察しうる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「わたしは、常吉が殺したとは申しませんが、姉さんと常吉とを
較
(
くら
)
べますと、姉さんの味方をしたいと、思いますので……」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
女の声と調子に
較
(
くら
)
べると、三四郎の答は頗るぶつきら棒である。三四郎も気が付いてゐる。けれども
外
(
ほか
)
に云ひ様がなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私どもは人生を橋渡りに
喩
(
たと
)
えた、アジソンの『ミルザの幻影』と思い
較
(
くら
)
べて、この人生の
譬喩
(
たとえ
)
を非常に意味ふかく感じます。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
ひとりは刺されし身ひとりは斷たれし身をみすとも、第九の
嚢
(
ボルジヤ
)
の汚らはしきさまには
較
(
くら
)
ぶべくもあらぬなるべし 一九—二一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
この見方は前の一元的表面的実在論に
較
(
くら
)
ぶれば、ずっと分析的に進んだ見方であるけれども、実在を空間的に考うるところに非常な誤謬がある。
明治哲学界の回顧:04 結論――自分の立場
(新字新仮名)
/
井上哲次郎
(著)
銀子も
我
(
わ
)
が
曾
(
かつ
)
ての実験と思ひ
較
(
くら
)
べて、そぞろに同情の涙
堪
(
た
)
へ難く「梅子さん
貴嬢
(
あなた
)
の御心中は私
能
(
よ
)
く知ることが出来ますの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これを当年のショペンハウエルに
較
(
くら
)
べるなら、
所詮
(
しょせん
)
僕は不器量に相違ないゆえに、
諦念
(
ていねん
)
して二人は一しょに歩いていた。
妻
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
契冲
(
けいちゆう
)
以來の古學者の假名遣と云ふものは、昔の發音に基いたものではあるけれども、今の發音と
較
(
くら
)
べて見ても其の懸隔が餘り大きくはないと思ふ。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「アコン。旦那に言って家鴨ば飼って
貰
(
もら
)
いなさらんか。家鴨の卵は鶏のとは
較
(
くら
)
べものにならんほど、大きかですど——」
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
今日の東京の生活はこれに
較
(
くら
)
べると遥かに弱い。東京の台所はこの品物に負けます。これを使いこなすには堪え得ない。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この世の中が昔に
較
(
くら
)
べて、どう違った? いつでも強いもの勝ちで、こすい奴が利得を占めて、おとなしい、正直な奴がひどい目に逢いつづけだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
幹子
(
みきこ
)
は、この
頃
(
ごろ
)
田舎
(
いなか
)
の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。髪の形も着物も、東京の少女に
較
(
くら
)
べると、かなり田舎染みて見えました。
大きな蝙蝠傘
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
〔
志戸平
(
しどたいら
)
のちかく
豊沢
(
とよさわ
)
川の南の方に
杉
(
すぎ
)
のよくついた
奇麗
(
きれい
)
な山があるでしょう。あすことこことはとても木の生え工合や
較
(
くら
)
べにも何にもならないでしょう。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ウッドとブリッグス、この相違を見て下さい! この澄んだ眼とあの向うの赤い眼球とを
較
(
くら
)
べて下さい——この顏をあの假面と——この姿をあの巨躯と。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
最初は静電気の起す作用を、電気分解のときに電流の流れ行くのに
較
(
くら
)
べて考えておったが、数日後には磁気が指力線に沿うて働くのと同様だと考えついて
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
私と彼女は、理髪師のようなつめたいにおいを発散させながら礼装の肩を
較
(
くら
)
べた。私には固い
洋襟
(
カラア
)
が寒かった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
私
(
わたし
)
はさうも
思
(
おも
)
はないが、
先
(
さき
)
に
申
(
まを
)
した
黒人
(
くろひと
)
と
較
(
くら
)
べて
話
(
はな
)
すのに
便利
(
べんり
)
なため、まづ
普通
(
ふつう
)
の
考
(
かんが
)
へを
採用
(
さいよう
)
しておきませう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
同僚中で結核の重症といわれた
山極
(
やまぎわ
)
氏と、どっちが先だろうと
較
(
くら
)
べられ、知人の葬式に顔を合わす度に、今度は君の番だろう、といわれるのは
入沢
(
いりさわ
)
氏でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そして四、五年前に
較
(
くら
)
べると全く見違えるほど成人した若奴の大人びた容姿を呆れたように見まもりながら
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
取って
較
(
くら
)
べて見たが、無論これはドアの内側のものと寸分違わないのです。犯人はここから入って、ここから帰って行ったのです。ところで、我々はこの靴跡を
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
桑の実の味はあまり世人に
賞翫
(
しょうがん
)
されぬのであるが、その旨さ加減は他に
較
(
くら
)
べる者もないほどよい味である。
くだもの
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
それに
較
(
くら
)
べると、どうも広島なんか兵隊がいるだけで、工業的見地から云わすと
殆
(
ほとん
)
ど問題ではないからね。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
後世段々に世が開けて進んで来たならば、こんな事はなくなって
仕舞
(
しまい
)
ましょう。私が緒方の塾に居た時の
心地
(
こころもち
)
は、今の日本国中の塾生に
較
(
くら
)
べて見て大変に
違
(
ちが
)
う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それに
較
(
くら
)
べると、割合い近い右手の山脈は、凍りついた積雪をまッ白に、どぎつくぎらぎら光らしていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
扨は瀧口殿が事思ひ給うての事か、武骨一
途
(
づ
)
の瀧口殿、文武兩道に
秀
(
ひい
)
で給へる重景殿に
較
(
くら
)
ぶべくも非ず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
お祖母さんは、まだ
胡散臭
(
うさんくさ
)
そうに、次郎の顔と、散らかった品物とを見
較
(
くら
)
べていたが、ふと思いついたように、長持のそばに寄って行って、その中を覗きこんだ。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その
馬
(
うま
)
のかたわらへ
甲
(
こう
)
の
馬
(
うま
)
が
並
(
なら
)
びますと、それは
較
(
くら
)
べものにならないほど、
姿
(
すがた
)
の
上
(
うえ
)
で
優劣
(
ゆうれつ
)
がありました。
甲
(
こう
)
の百
姓
(
しょう
)
は、
内心
(
ないしん
)
恥
(
は
)
ずかしくてしかたがありませんでした。
駄馬と百姓
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それにひき
較
(
くら
)
べて、玉島は冬も温いところであつた。海はいつも異人の眼のやうに、やさしく
碧
(
あを
)
くたたへられ、
陽
(
ひ
)
は入江や、入江をとりかこむ丘の上にみち
溢
(
あふ
)
れた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
花火について見るも、今日に
較
(
くら
)
ぶればとても幼稚なもので、今見るような華やかなものはなかった。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
妹の
利
(
き
)
かなそうな様子に
較
(
くら
)
べて、見るからに
温和
(
おとな
)
しそうな、
混血児
(
あいのこ
)
にも似ぬ
淑
(
しと
)
やかさを感じました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
大金と申さるゝが御主人丹後守殿御
身上
(
しんじやう
)
に
較
(
くら
)
べて見る時は
實
(
まこと
)
に易きこと十萬石餘の大名少々の金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あなごの美味いのは、
堺
(
さかい
)
近海が有名だ。東京のはいいといっても、関西ものに
較
(
くら
)
べて調子が違う。焼くには堺近海のがよく、煮るとか、てんぷらとかには東京のがいい。
鱧・穴子・鰻の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
杜甫
(
とほ
)
に「飲中八仙歌」がある。気象が盛んで華やいでいる。
強
(
し
)
いて
較
(
くら
)
べるのではないが、真淵の「うま酒の歌」においても同じことがいえる。そこで鶴見はこう考えている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
其
(
その
)
戀姫
(
こひびめ
)
どのと
貫目
(
くわんめ
)
を
較
(
くら
)
べて
御覽
(
ごらう
)
じたなら、
今
(
いま
)
は
最
(
いっ
)
ち
善
(
よ
)
う
見
(
み
)
ゆるのが
最早
(
もはや
)
善
(
よ
)
うは
見
(
み
)
えまいぞや。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
あひるさんは自分の時計を出して駅のと
較
(
くら
)
べて見ましたら三十分おくれてゐましたとさ。
あひるさん と 時計
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
三年前に
較
(
くら
)
べれば私の心も博くなりまして前に裁いたことをも今は受け入れるようになりましたし、私の感じたところではあなたの人柄も私には前よりも親しみやすく、温かく
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
較
常用漢字
中学
部首:⾞
13画
“較”を含む語句
比較
計較
較々
見較
比較的
引較
根較
力較
比較論
較量
丈較
較著
読較
脊較
相較
比較解剖
比較觀察
比較考査
比較的勢力
比較物
...