くら)” の例文
彼は、背丈は、京一よりも低いくらいだったが、頑丈で、腕や脚がふしこぶっていた。肩幅も広かった。きかぬ気で敏捷だった。
まかないの棒 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
だんだん足が長くなって来たのは驚くべきくらいである、足の短かい顔の大きな女はやがて日本から消滅するかもしれない、すると間もなく
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
其処そこには其の頃研究座に出る女優さんが、二人来て居た。二人とも髪を短く切つて、洋服を着てゐたが、それが反感を持てぬくらゐ、よく似合つてゐた。
私の社交ダンス (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
此時分このじぶん發掘法はつくつはふといふのは、幼稚ようちなもので、幻花はハンマーでこつこつつて、布呂敷ふろしき貝殼かひがらしやくくらゐ。
成る程其処そこには、三尺四方くらいの機械油のたまりが、一度水に浸されたらしくなかばぼやけて残っている。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
芝居の仕草しぐさや、浄瑠璃じょうるりのリズムにともない、「天下晴れての夫婦」などと若い水々みずみずしい男女の恋愛の結末の一場面のくぐりをつける時に、たった一つくらい此の言葉を使うのは
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しま一周いつしうといつて、このしまはどのくらひろいものやら、また道中だうちう如何いかなる危險きけんがあるかもわからぬが、此處こゝ漠然ぼんやりとしてつて、しま素性すじやうわからず氣味惡きみわる一夜いちやあかすよりはましだとかんがへたので
志村しむらがあのくらけるなら自分じぶん幾干いくら出來できるだらうとおもつたのである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
長い赤髪あかげを、モシャモシャさせながら、何だかペチャクチャしゃべくっては、私達に笑いかけた。小屋の柵のまえに、鉄砲をかついでゆききしている日本の番兵は、彼等の胸くらいしか、が届かなかった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
何か総体として樹木というものだけは知っていた、そしてその代表的な松とか梅、桜、くらいは確かに知っていた、魚はたい、まぐろを知っている位いであった。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
破片はへんるけれど、如何どうおもはしいものがなく、やうや底拔土器そこぬけどき一箇ひとつくらゐで、此日このひ引揚ひきあげた。
だが、かの女が草をらないことを頑張れば息子も甘酸あまずっぱく怒って、ことによったらかの女をスポーツ式に一つくらいはどやすだろう。そしたらまあ、仕方が無い、取ってもい。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その額縁さえも支那とは思えないくらいのクラシックなものが、ついているのを見かけます、私が現在持っている Mes demoiselles Loison と題せる
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
それでたる貝塚かひづか探檢たんけんしたくなつたので、四十一ねんぐわつたるつてた。しかるにいま全滅ぜんめつして、わづかにはたけ貝殼かひがら點々てん/\いてくらゐで、とてそうこと出來できぬ。
だって、あれだけの冒険をしてやっと這入はいったんだぜ、(盗人は三重のとびら手際てぎわよく明けて入りました)あれくらいの仕事じゃ(盗人は作りたての外套がいとうに帽子をとりました。)まだ手間てまに合うまいよ。
げんにである、最初さいしよ加瀬かせから望生ばうせい破片はへんつてときも、彌生式やよひしきとはおもはなかつたくらゐであるから、小破片せうはへん一寸ちよつとひろつた、其時そのときおいて、普通ふつうのとおもはれたのではあるまいかといふうたがひを
打石斧だせきふ磨石斧ませきふ石鏃せきぞく把手とつて破片はへん土瓶どびんくち、そんなものは、どのくら數多かずおほ採集さいしふしたかれぬが、發掘はつくつをしてこといので、茶店ちやみせ息子むすこかいして、地主ぢぬし政右衞門まさうゑもんといふひと
此遠足會このえんそくくわいくらゐ、不得要領ふとくえうりやうはなはだしいのはかつた。
見物けんぶつたいしてきまりがわるくらひだ。