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蝕
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むしく
ふりがな文庫
“
蝕
(
むしく
)” の例文
ともかくノートは、板の間の
埃塗
(
ほこりまみ
)
れの円柱の蔭から、積んであったルナンやパピニの
基督
(
キリスト
)
伝の下から、
蝕
(
むしく
)
いだらけになって現れた。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
藤吉郎は、毎日、
商人
(
あきんど
)
が納品する
鰹節
(
かつおぶし
)
の
蝕
(
むしく
)
いを調べたり、
椎茸
(
しいたけ
)
や
干瓢
(
かんぴょう
)
の記入などを、黙々とやっていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日が
蝕
(
むしく
)
ひ、黄色い陰鬱の光のもとにまだ見も知らぬ寂しい鳥がほろほろと鳴き、曼珠沙華のかげを
鼬
(
いたち
)
が
急忙
(
あわただ
)
しく横ぎるあとから、あの恐ろしい生膽取は忍んで來る。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
斜に推し倒され
蝕
(
むしく
)
ったように穴を生じて、その穴の底の方から、岩燕の啼く音が聞えた。
雪中富士登山記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
土佐の
古漉紙
(
こすきがみ
)
を二枚に折った十枚綴じの物で、ひどく古色が出ているが
蝕
(
むしく
)
いの
痕
(
あと
)
はない。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「どうだ、この花は! もつと吟味をしてとつて来ればいいのに。ふ、みんな
蝕
(
むしく
)
ひだ」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
お隣のおばさんにも下し賜わらず長火鉢の前の
噛楊子
(
かみようじ
)
ちょっと聞けば悪くないらしけれど気がついて見れば見られぬ
紅脂白粉
(
べにおしろい
)
の花の裏路今までさのみでもなく思いし冬吉の眉毛の
蝕
(
むしく
)
いがいよいよ別れの催促客となるとも色となるなとは今の
誡
(
いまし
)
めわが
讐敵
(
あだ
)
にもさせまじきは
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
薔薇の
叢
(
くさむら
)
には、今は、花は一つもない。ただ葉ばかりである。それさへ皆
蝕
(
むしく
)
ひだ。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
蝕
(
むしく
)
った雲の淵の深さが、何十尺かの穴となって、口が明く。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ぱつと火が燃え立つと、妻の顔は半面だけ真赤に、醜く浮び出す。その台所の片隅では、薔薇のコップが、
暗
(
やみ
)
のなかでぽつりと浮び出して来る。その薔薇は、
蝕
(
むしく
)
ひの薔薇は煙がつて居る!
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
蝕
漢検準1級
部首:⾍
14画
“蝕”を含む語句
腐蝕
虫蝕
侵蝕
日蝕
月蝕
浸蝕
虫蝕本
蝕画
蝕歯
蝕鏤師
蚕蝕
蝕壊
腐蝕土
蠧蝕
部分蝕
酸蝕性
金環蝕
風蝕
虫蝕折
腐蝕期
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