“むしば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
59.7%
齲歯22.7%
3.4%
齲齒3.4%
虫喰2.5%
虫噛1.7%
蝕歯1.7%
虫歯0.8%
虫食0.8%
蟲食0.8%
蟲齒0.8%
0.8%
0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其処にある花は花片はなびらも花も、不運にも皆むしばんで居る。完全なものは一つもなかつた。それが少ししづまりかかつた彼の心を掻き乱した。
ある時佐助齲歯むしばを病み右の頬がおびただしくれ上り夜に入ってから苦痛え難きほどであったのをいてこらえて色に表わさず折々そっと合嗽うがい
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そういう「近代」が、——生活の生地が——名人六代目菊五郎をさえむしばんでいないとは云えないと思います。
役者の顔 (新字新仮名) / 木村荘八(著)
或はまた齲齒むしばへ針を當てたやうな激しい不快感を起して、それから先へ進むのをひとりでに阻止した。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
この浅間敷あさましい老人の姿——空腹と老衰と病弱とに虫喰むしばまれている老人の姿を、誰が今日見たところで、その老人が往昔そのむかし、逞しい体の所有者で、そして素晴らしい好男子で
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この頃の空癖そらくせで空は低く鼠色ねずみいろに曇り、あたりの樹木からは虫噛むしばんだ青いままの木葉このはが絶え間なく落ちる。からすにわとり啼声なきごえはと羽音はおとさわやかに力強く聞える。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あやにくに虫歯むしば病む子とこもりゐぬ皷きこゆる昼の山の湯
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
今、廟堂で天下を争って居る二人は全く違った二人に思えた。このことはすでに荘子を虫食むしばんで来た現実回避の傾向に一層深く思い沁みた。いやな世の中だ。ただただいやな世の中だ、と思えた。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
月の光にすかし見れば、半ばくづれし門のひさし蟲食むしばみたる一面の古額ふるがく、文字は危げに往生院と讀まれたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ガラツ八の八五郎は、懷ろ手を襟から拔いて、蟲齒むしばが痛い——て恰好に頬を押へ乍ら、裏木戸を膝で開けてノツソリと入つて來ました。
ひかりを鎧うた浄い暁のなか、むしばまれた祈祷いのりの囁きがたちのぼる。一と夜、悪の扉にもたれてゐたかれらが、聖らかな眼ざめにかへるのだ。——一斉に咒詞を呟きながら。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
精神の上立憲では昨日までのめちゃくちゃ主義のためにむしばまれているから、これを反省せずに凱歌をあげた結果は上も下も高慢になり不遜になって
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)