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不斗
取り出し是は一昨日お前樣の歸りし
跡に
落てありし
品故何心なく
拾ひしが
不斗此場の役に立つ傳吉殿
讀給へと差出すを傳吉
取上讀下すに
或人が
不斗尋ねると、
都々逸端唄から
甚句カッポレのチリカラカッポウ
大陽気だったので、
必定お客を呼んでの
大酒宴の
真最中と、
暫らく
戸外に
佇立って
躊躇していたが
相方を定めて熟睡せしが、深夜と思う時分
不斗目を
覚して見ると、一人であるべき筈の
相方の
娼妓が
両人になり、しかも左右に
分れて
能く眠っているのだ、有る
可き事とも思われず
吃驚したが