不斗ふと)” の例文
取り出し是は一昨日お前樣の歸りしあとおちてありししなゆゑ何心なくひろひしが不斗ふと此場の役に立つ傳吉殿讀給よみたまへと差出すを傳吉取上とりあげ讀下よみくだすに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
或人が不斗ふと尋ねると、都々逸どどいつ端唄はうたから甚句じんくカッポレのチリカラカッポウ大陽気おおようきだったので、必定てっきりお客を呼んでの大酒宴おおさかもり真最中まっさいちゅうと、しばらく戸外おもて佇立たちどまって躊躇ちゅうちょしていたが
相方あいかたを定めて熟睡せしが、深夜と思う時分不斗ふと目をさまして見ると、一人であるべき筈の相方あいかた娼妓しょうぎ両人ふたりになり、しかも左右にわかれてく眠っているのだ、有るき事とも思われず吃驚びっくりしたが
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
開き多くの門弟も出來て繁昌はんじやうなし居たりしが兩三年をすぎ秀盛入道は不斗ふとわづらひ付し處大傷寒たいしやうかんとなり殊の外大病ゆゑ門弟中大いに心配なし種々治療ちれうに手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
りしが甲夜よりして枕に着たるゆゑなるか夜半の鐘に不斗ふとを覺し見ればかたへにお光のをらぬにさて雪隱せついんへでも行きたるかと思うてやほら寢返ねがへりなし煙草たばこのまんと枕元を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)