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不斗
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ふと
取り出し是は一昨日お前樣の歸りし
跡に
落てありし
品故何心なく
拾ひしが
不斗此場の役に立つ傳吉殿
讀給へと差出すを傳吉
取上讀下すに
或人が
不斗尋ねると、
都々逸端唄から
甚句カッポレのチリカラカッポウ
大陽気だったので、
必定お客を呼んでの
大酒宴の
真最中と、
暫らく
戸外に
佇立って
躊躇していたが
相方を定めて熟睡せしが、深夜と思う時分
不斗目を
覚して見ると、一人であるべき筈の
相方の
娼妓が
両人になり、しかも左右に
分れて
能く眠っているのだ、有る
可き事とも思われず
吃驚したが
開き多くの門弟も出來て
繁昌なし居たりしが兩三年を
過秀盛入道は
不斗煩ひ付し處
大傷寒となり殊の外大病ゆゑ門弟中大いに心配なし種々
治療に手を
りしが甲夜よりして枕に着たるゆゑなるか夜半の鐘に
不斗目を覺し見れば
側にお光のをらぬに
扨は
雪隱へでも行きたるかと思うてやほら
寢返りなし
煙草を
呑んと枕元を