往来おもて)” の例文
旧字:往來
あまはげしい往来中わうらいなかではいかず、とつて衆人ひとに立たぬければ不可いかぬから、入口はいりぐち横町よこちやうけ、おもてはうは三四けんの所をこまかい格子作かうしづくりこしらへ、往来おもてはう看板かんばんけました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「もう腹を立ててるんだわ! なんだつてこんな時分にいらつしたの? ときどき、人が多勢で往来おもてをあちこちしてるぢやありませんか……。あたし、からだぢゆうがぶるぶる顫へて……。」
「あ。……神輿みこしが通るのかな。往来おもてはたいへんな騒ぎらしい」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
パラースカは家の閾を跨ぐがはやいか、自分のからだが白い長上衣スヰートカを著た若者の腕に抱きすくめられたのを感じた。彼はおほぜいの人だかりといつしよに、往来おもてで彼女を待ち受けてゐたのであつた。