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おもて
ふりがな文庫
“
外
(
おもて
)” の例文
雨風のなおはげしく
外
(
おもて
)
をうかがうことだにならざる、静まるを待てば夜もすがら
暴
(
あれ
)
通しつ。家に帰るべくもあらねば姉上は通夜したまいぬ。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もとより寄席ではない見世ものだから、その曲芸は客を誘うために、あるていどまで、
外
(
おもて
)
に立見する客へも見せるから、人気はすばらしかった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
満枝が
手管
(
てくだ
)
は、今その
外
(
おもて
)
に
顕
(
あらは
)
せるやうに
決
(
け
)
して内に
怺
(
こら
)
へかねたるにはあらず、かくしてその人と
諍
(
いさか
)
ふも、また
愜
(
かな
)
はざる恋の内に
聊
(
いささ
)
か楽む道なるを思へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
雨風のなほはげしく
外
(
おもて
)
をうかがふことだにならざる、静まるを待てば
夜
(
よ
)
もすがら
暴通
(
あれとお
)
しつ。家に帰るべくもあらねば姉上は
通夜
(
つや
)
したまひぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その人だかりの中には、日ごろは
外
(
おもて
)
などへ出たこともない大問屋の
内儀
(
ないぎ
)
たちも交っている。私はよそから帰って来て、なにごとだろうかと思った。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
「ああ
宜
(
よろし
)
いが。この首が欲いか、遣らうとも遣らうとも、ここでは可かんから
外
(
おもて
)
へ行かう。さあ一処に来た」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
盗人が一足
外
(
おもて
)
へ出たと同時に、奥蔵の二階の窓から、激しく、せわしなく「火事だ火事だ」と
金盥
(
かなだらい
)
を叩きたてた。それに応じて店でも騒ぎだした。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
表二階にて下男を
対手
(
あいて
)
に、晩酌を傾けおりしが、得三何心無く
外
(
おもて
)
を眺め、門前に佇む泰助を、遠目に見附けて
太
(
いた
)
く驚き
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聞けばあの富山の父と云ふものは、内に二人
外
(
おもて
)
に三人も妾を置いてゐると云ふ話だ。財の有る者は大方そんな
真似
(
まね
)
をして、妻は
些
(
ほん
)
の床の置物にされて、
謂
(
い
)
はば棄てられてゐるのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と
音訪
(
おとな
)
う者あり。聞覚えのある声はそれ、とお録内より戸を開けば、
外
(
おもて
)
よりずっと入るは下男を連れたる紳士なりけり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外
(
おもて
)
の窓の部屋に、
硝子
(
ガラス
)
戸の戸棚と小引出しがずっとならんでいたが、おしょさんの
連合
(
つれあい
)
の
商業
(
しょうばい
)
は眼鏡のわくとレンズを問屋へ入れるだけで、商品が
量
(
かさ
)
ばらない商業だった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ええ、と
吃驚
(
びっくり
)
身を
飜
(
ひる
)
がえして、
外
(
おもて
)
へ
遁出
(
にげだ
)
し雲を霞、遁がすものかと銀平は門口まで追懸け出で、
前途
(
ゆくて
)
を見渡し
独言
(
ひとりごと
)
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丁度父が
外
(
おもて
)
から帰って来て客のまたせてある
室
(
へや
)
へゆきがけに通ると、母が
縋
(
すが
)
るように言った。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
われを憎むとは覚えず、内に
行
(
ゆ
)
くことをこそ好まざれ、
外
(
おもて
)
にて遊ぶ時は、折々ものくれたり。されどかの継母の与えしものに、わが好ましきはあらざりき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何かのはしで讀んだ事が妙に氣がかりにもなるが、無論それはとりとめもない考への主流でなく、眼は
洋中
(
わだなか
)
のごとき庭の青さと、
銹銀色
(
さびぎんいろ
)
の重い空の、霧つぽい濕つた
外
(
おもて
)
を見てゐたが
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この
夕
(
ゆうべ
)
もまた美人をその家まで送り届けし後、杉の根の
外
(
おもて
)
に
佇
(
たたず
)
みて、例の如く鼻に
杖
(
つえ
)
をつきて休らいたり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
(
すすき
)
の穂が飛んで、
室内
(
へやのなか
)
の老爺さんの肩に赤トンボがとまろうと、桜が散り込んで
小禽
(
ことり
)
が障子につきあたって飛廻っても、老爺さんには東京なのか山の中なのか、室内なのか
外
(
おもて
)
なのか
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
予はひやりとして
立停
(
たちど
)
まりぬ。
稍
(
やゝ
)
ありて犬は奥より
駈来
(
かけきた
)
り、予が立てる前を
閃過
(
せんくわ
)
して藪の
外
(
おもて
)
へ
飛出
(
とびい
)
だせり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お母さんは奥深い
土蔵
(
くら
)
前に陣どり、賢吾さんや、女中たちは、
外
(
おもて
)
へ飛出した。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「はッ、いつも朝御飯を戴いて
外
(
おもて
)
へ出ますのが、今日は御玄関が開くとそのまま飛出しました。これが前兆と申すのでございましょうか、誠に争われぬもので、
御愁傷様
(
ごしゅうしょうさま
)
。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
みんなで石っころを
投
(
ほう
)
りこんで逃出すんだ、そりゃね、時には、
外
(
おもて
)
でいじめたこともあるさ。だけれど、その時
敗
(
ま
)
けて泣いた奴の方があんなに偉くなって、わしゃチンコッきりだ。わしゃかなしい。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
世に
馴
(
な
)
れては見えたまえど、もとより深窓に
生育
(
おいた
)
ちて、乗物ならでは
外
(
おもて
)
に
出
(
い
)
でざる
止事無
(
やんごとな
)
き方々なれば、
他人事
(
ひとごと
)
ながら恥らいて、顔を背け、
頭
(
かしら
)
を
低
(
た
)
れ、正面より見るものなし。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斯
(
か
)
くて婦人が無体にも予が寝し
衾
(
ふすま
)
をかゝげつゝ、
衝
(
つ
)
と身を入るゝに絶叫して、
護謨球
(
ごむだま
)
の如く
飛上
(
とびあが
)
り、
室
(
しつ
)
の
外
(
おもて
)
に
転出
(
まろびい
)
でて
畢生
(
ひつせい
)
の力を
籠
(
こ
)
め、
艶魔
(
えんま
)
を封ずるかの如く、襖を
圧
(
おさ
)
へて立ちけるまでは
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
幽になって
外
(
おもて
)
の
木
(
こ
)
の葉を、夜露が伝うように遠ざかる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外
(
おもて
)
より
推返
(
おしかえ
)
して、「この会のことが出ております。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“外”を含む語句
外套
外見
外出
外面
外貌
外国
外方
外囲
内外
外聞
門外
戸外
意外
外部
窓外
引外
法外
外国人
外皮
外人
...