外面おもて)” の例文
「ところで、外面おもてには多勢の人だかりだが、あの中に、親方の知らない顔が一人でも交っちゃいないだろうか。見て来て貰いたいが」
しかし外面おもてからたのとはちがって、内部なかはちっともくらいことはなく、ほんのりといかにも落付おちついたひかりが、へや全体ぜんたいみなぎってりました。
掛内に這入はひりふしみ居し折柄をりから燒場の外面おもての方に大喧嘩おほげんくわが始りし樣子故何事かと存じそつと出てうかゞひしにくらき夜なれば一かうわからず暫時しばらく樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今ちょいと外面おもててめえが立って出て行った背影うしろかげをふと見りゃあ、あばれた生活くらしをしているたアが眼にも見えてた繻子しゅすの帯
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
りながら外面おもて窮乏きうばふよそほひ、嚢中なうちうかへつあたゝかなる連中れんぢうには、あたまからこの一藝いちげいえんじて、其家そこ女房にようばう娘等むすめらいろへんずるにあらざれば、けつしてむることなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その内に紳士の一行がドロドロと此方こちらを指して来る容子を見て、お政は茫然ぼうぜんとしていたお勢の袖をいそがわしく曳揺ひきうごかして疾歩あしばや外面おもてへ立出で、路傍みちばた鵠在たたずんで待合わせていると
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
生鼠壁なまこかべかびさは外面おもて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
外面おもての、印度インド洋に向いた方の、大理石のまわえんには、のきから掛けて、ゆかへ敷く……水晶のすだれに、星の数々ちりばめたやうな、ぎやまんの燈籠とうろうが、十五、晃々きらきらいて並んで居ます。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
朧気おぼろげながら見てしまった女隠居は、危うく殺されるところでしたが、曲者はあかつき近い外面おもての人通りに驚いて逃出し、すでにやいばを喉笛に擬せられた女隠居は、危ういところで命を助かったのでした。
外面おもての、印度洋インドやういたはうの、大理石だいりせき𢌞まはえんには、のきからけて、ゆかく……水晶すゐしやうすだれに、ほし數々かず/\ちりばめたやうな、ぎやまんの燈籠とうろうが、十五、晃々きら/\いてならんでます。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太夫の手にもとどまらで、空にあや織る練磨れんまの手術、今じゃ今じゃと、木戸番は濁声だみごえ高くよばわりつつ、外面おもての幕を引きげたるとき、演芸中の太夫はふとかたに眼をりたりしに
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)