“うわべ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウワベ
語句割合
表面54.0%
上部12.7%
上辺8.7%
外面6.3%
上面4.0%
外形1.6%
外見1.6%
1.6%
1.6%
外部0.8%
上皮0.8%
外観0.8%
外貌0.8%
外辺0.8%
表前0.8%
表向0.8%
表皮0.8%
表相0.8%
表辺0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その外のあたり人にびて退いて人をそしるとか、表面うわべで尊敬して裏面りめん排撃はいげきするとか社会の人に心の礼のない事は歎ずるに余りあり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
良人が、自分をほんとうは、少しも愛していず、ただ上部うわべの調子だけを合わしていることも、とっくに承知していた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「ハイ、今朝までに済みました。で貴公あなた方は?」これは上辺うわべの挨拶に過ぎぬのである。かような会話はもとより彼の好むところではない、むしろいとう方である。
愛か (新字新仮名) / 李光洙(著)
つまりは外面うわべはあまりないくせに、そこほうでよくるとった、よほど不思議ふしぎ似方にかたなのでございます。
そんな三角関係などは二十余年も以前の事で、上面うわべうに清算されているようだが、きっと何か残っていたに違いないのだ。
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
今日の今までお蘭が口づから戀しと言ひし人も無ければ、心に染みて一生の戀はせざりしなり、浮世を知らざりし乙女の昔し、誘はれしは春風か才智、容貌、それ等の外形うわべに心を亂して
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
倶楽部へ行って球をいたり、浅草公園の群集に混って、活動まちを行ったり来たりして見たり、心のうちでは極度の焦躁を感じながら、外見うわべは如何にも呑気らしくそんなことをやって居る内に
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
兵馬は例のうわべだけの僧形そうぎょうで、神尾の屋敷の前まで来かかると、門前に人集ひとだかりがあります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
燕王ことばれんことをはかり、うわべしりぞけて通州つうしゅうに至らしめ、舟路しゅうろひそかに召してていに入る。道衍は北平ほくへい慶寿寺けいじゅじに在り、珙は燕府えんふに在り、燕王と三人、時々人をしりぞけて語る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どういうものか健三は非道ひどくその光を怖れた。同時にはげしくそれをにくんだ。我慢な彼は内心に無事を祈りながら、外部うわべではいて勝手にしろという風を装った。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「父はそんな事をいった事なんぞありゃしません。私だってそう外部うわべばかり飾って生きてる人間じゃありません。貴夫が不断からそんなひがんだ眼でひとを見ていらっしゃるから……」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
氏は都会っ子的な上皮うわべの強がりは大分ありますがなかなか憶病おくびょうでも気弱きよわでもあります。
そうした外観うわべだけを見ている人は、おそらくこうした夫婦の生活を、たわいもない子供の『ままごと』遊びのように思ったであろう。
師よ、我らは知る、汝は真にして、誰をもはばかり給うことなし、人の外貌うわべを見ず、真をもて神の道を教え給えばなり。
一寸ちょい旗本はたもと御家人ごけにん出遇であう所が、応接振りは上品で、田舎者と違い弁舌もく行儀も立派であるが、何分にも外辺うわべばかりで、物事を微密ちみつに考える脳力のうりょくもなければまた腕力も弱そうに見える
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
が、それは表前うわべの事。日本左衛門の仲間の目にそう見せておく反間苦肉はんかんくにくというやつです。なんで、あなたを殺せましょうか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
表向うわべ鄭重ていちょうに迎えたこの茶屋の内儀が、二人を案内したあとで眉をひそめました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つまりしっかりした芸術作品を持ったり他の事業でも真摯しんし地歩ちほをかためてる女性以外には装飾そうしょく的な表皮うわべの感情は多くひらめかして居ても本質的な真面目な熱情や感情が浅薄せんぱくです。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
けれど、こう静まッているは表相うわべのみで、乞の胸臆きょうおくうちへ立入ッてみれば、実に一方ひとかたならぬ変動。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
水陸のけじめは表辺うわべのみで、下に行き通うものという観念を、我々は持っていたのかもしれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)