戸表おもて)” の例文
無言の儘にて戸表おもてへと立出しが余はこゝに至りて我慢も仕切れず、目科の腕に手を掛けて問う
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「——ですが、楽翁さまのお声が外ですると、ここでは、何も話さずに、すぐ御一緒に、戸表おもてへ出て、一つの灯は、お濠端の方へ。一つは数寄屋橋御門外のほうへ、別れ別れに、お帰りになりました」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其のまま戸表おもてへ駆出した、勿論彼の男が庭から裏の方へ立ち去った事は知って居るが、裏からは何所へも行く事が出来ぬから、必ず表の道へ出て、停車場の方へ行くに違いない
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
此の家の女主あるじを呼び、一応介抱の事を言い附けて戸表おもてへ出た、何うしたか知らぬけれど庭木に繋いで置いた余の馬が見えぬ、併し馬にも構って居る場合でない、其のまま外へ出て了ったが
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
と反対の言葉を残して戸表おもてへと走り出たり。
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)