能面おもて)” の例文
岩窟の壁へ懸けられた、非情の能面おもてさえ耳を澄まし、聴き入るような声であった。寂しい絶望した声であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
えぐられたように痩せ落ちた顳顬こめかみや頬、そういう輪廓を、黒い焔のような乱髪で縁取ふちどり、さながら、般若はんにゃ能面おもてを、黒ビロードで額縁したような顔を、ヒタと左門へ差し向けたが
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
のみ能面おもてきざんでいた。刃先がキラキラと火に光った。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)