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面
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おもて
ふりがな文庫
“
面
(
おもて
)” の例文
まだ
昨日
(
きのう
)
降
(
ふ
)
った
雨
(
あめ
)
の
水
(
みず
)
が、ところどころ
地
(
ち
)
のくぼみにたまっていました。その
水
(
みず
)
の
面
(
おもて
)
にも、
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は
美
(
うつく
)
しく
照
(
て
)
らして
輝
(
かがや
)
いていました。
幾年もたった後
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
車夫のかく答へし後は
語
(
ことば
)
絶えて、車は
驀直
(
ましぐら
)
に走れり、紳士は
二重外套
(
にじゆうがいとう
)
の
袖
(
そで
)
を
犇
(
ひし
)
と
掻合
(
かきあは
)
せて、
獺
(
かはうそ
)
の
衿皮
(
えりかは
)
の内に耳より深く
面
(
おもて
)
を
埋
(
うづ
)
めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私はちょっかいを出すように、
面
(
おもて
)
を払い、耳を払い、頭を払い、袖を払った。茶番の
最明寺
(
さいみょうじ
)
どののような形を、
更
(
あらた
)
めて
静
(
しずか
)
に
歩行
(
ある
)
いた。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言いつつすっぽりと
面
(
おもて
)
を包んで、京弥を後ろに随えると、不敵にも懐手をやったまま、
刄
(
やいば
)
の林目がけてすいすいと歩み近づきました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
信一郎が、茲まで話したとき、夫人の
面
(
おもて
)
は、急に緊張した。さうした緊張を、現すまいとしてゐる夫人の努力が、アリ/\と分つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
内
(
うち
)
より
明
(
あ
)
けて
面
(
おもて
)
を
出
(
いだ
)
すは
見違
(
みちが
)
へねども
昔
(
むかし
)
は
殘
(
のこ
)
らぬ
芳之助
(
よしのすけ
)
の
母
(
はゝ
)
が
姿
(
すがた
)
なり
待
(
ま
)
つ
人
(
ひと
)
ならで
待
(
ま
)
たぬ
人
(
ひと
)
の
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らず
佇
(
たゝず
)
むかげに
驚
(
おどろ
)
かされて
物
(
もの
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ゴンクウルの
言
(
げん
)
を借りていへば、あたかも
種紙
(
たねがみ
)
の
面
(
おもて
)
に
蛾
(
が
)
の卵を産み落し行くが如く、筆にまかせて
千差万様
(
せんさばんよう
)
の
画
(
え
)
を描きしものにして
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
面
(
おもて
)
を
剛
(
こわ
)
くして言い切れば、勝太郎さすがは武士の子、あ、と答えて少しもためらうところなく、立つ川浪に身を躍らせて相果てた。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
誰というまでもなく、それは南条先生のいたずらに違いないと思うから、ばかばかしくなってその遊び人の
面
(
おもて
)
をじっとながめました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
七三
君は賢弟と南
面
(
おもて
)
の
間
(
ま
)
に
弈
(
えき
)
して遊ばせ給ふ。
掃守
(
かもり
)
傍
(
かたはら
)
に侍りて
七四
菓
(
このみ
)
を
啗
(
くら
)
ふ。文四がもて来し
大魚
(
まな
)
を見て、人々大いに
感
(
め
)
でさせ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
夕餉
(
ゆうげ
)
の
膳部
(
ぜんぶ
)
もしりぞけて、庭の
面
(
おもて
)
に
漆黒
(
しっこく
)
の闇が満ちわたるまで、お蓮様はしょんぼり、縁の柱によりかかって考えこんでいたが——。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
戦場は天地を一宇の堂とした大きな修行の床ともいえる。月に白い謙信の
面
(
おもて
)
には、
寸毫
(
すんごう
)
といえども、敗けたという色は見えなかった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「デシル法⁉ それを、どうしてまた貴方が……」と臆したように
面
(
おもて
)
を曇らせたが、セレナ夫人は、そうした口の下から問い返した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
主 そうだな、こう、まっすぐに、一本の点線を雪の
面
(
おもて
)
にすうっと描いたような具合に、林のへりなぞをよく縫い歩いているのだがね。
雪の上の足跡
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
困り果てて、ぼんやり沼の
面
(
おもて
)
を眺めていると、対岸に生えている大きな榎の枝から一匹の小さな青虫が、糸をひいて垂れ下がってきた。
桑の虫と小伜
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
南に
面
(
おもて
)
をむけて瞳をあげると、東方に寄った空がまず透明な淡い白光を現わし、水色を帯び、ややしてあわい青緑色に澄み光って来る。
窓
(新字新仮名)
/
鷹野つぎ
(著)
気落ちした様に「桐の花」の原稿を投げ棄てて小生と母と二人
欷歔
(
ききよ
)
したのも——それから如何に逃れ難い悲哀の
面
(
おもて
)
に面接したとはいへ
わが敬愛する人々に
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
私は例の
仮面
(
めん
)
の由来に就て
種々
(
いろいろ
)
考えてみましたが、前にもいう通り、頼家所蔵の舞楽の
面
(
おもて
)
というの他には、取止めた鑑定も付きません。
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
われを君が
仇
(
あだ
)
と
思
(
おぼ
)
し給ふ
勿
(
なか
)
れ、われは君のいづこに
在
(
いま
)
すかを
辨
(
わきま
)
へず、また見ず、また知らず、
唯
(
たゞ
)
この涙に
暮
(
く
)
るゝ
面
(
おもて
)
を君の方に向けたり。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
それが舞い手……殊に仮面の舞台効果(
面
(
おもて
)
のこうした不可思議な且つ偉大な表現力がどこから生れて来るか……という事は後に述べる)
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
激情に駆られた一人の処女が、凄惨な
面
(
おもて
)
を振り仰ぎ、躍動する振袖と裾に燃え上げられて、其儘天井に焼け抜けるかと思うばかり。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
菊枝は胸のふさがるおもいで読んだ、姑は聞き終ってからしばらくなにか考えているようすだったが、やがてしずかに
盲
(
めし
)
いた
面
(
おもて
)
をあげ
日本婦道記:不断草
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暮れ方の薄汚れた三味線堀のふちに立ってボンヤリ水の
面
(
おもて
)
を眺めていたとき、ポンとお艶ちゃんに肩を叩かれたこともあったっけ。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
『なんじ豚ども! そちたちは獣の相をその
面
(
おもて
)
に
印
(
しる
)
しておるが、しかしそちたちも来るがよい!』すると知者や賢者がいうことに
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
おとらは
往返
(
いきかえ
)
りには青柳の家へ寄って、姉か何ぞのように
挙動
(
ふるま
)
っていたが、細君は心の侮蔑を
面
(
おもて
)
にも現わさず、物静かに
待遇
(
あしら
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「先生、渡辺の
老女
(
おば
)
さんがお待ちなされてです」と呼ばれる大和の声に、彼は沈思の
面
(
おもて
)
を揚げて「其れは誠に申訳がありませんでした」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
恩あるその人の
敵
(
むこう
)
に今は立ち居る十兵衛に連れ添える身の
面
(
おもて
)
を
対
(
あわ
)
すこと辛く、女気の
繊弱
(
かよわ
)
くも胸をどきつかせながら、まあ親方様
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
聴水は
可笑
(
おか
)
しさを
堪
(
こら
)
えて、「
慌
(
あわただ
)
し何事ぞや。
面
(
おもて
)
の色も常ならぬに……物にや追はれ給ひたる」ト、
問
(
とい
)
かくれば。黒衣は初めて
太息
(
といき
)
吻
(
つ
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
選手がテープにぶつかると同時に、彼の腹部からしぶきの様なものが、サッとほとばしって、赤い液体がテープの
面
(
おもて
)
をツーッと走った。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかしてこなたなる幸なく世に出でし者の
面
(
おもて
)
を汝にむけしめよ、彼等は我等と
方向
(
むき
)
を等しうせるをもて汝未だ顏を見ず 七六—七八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
岩壁に懸けられた
面
(
おもて
)
達は、眼を開いたり眼を閉じたり、口を開いたり口を閉じたり、
龕
(
がん
)
の焔の揺れるに連れて、その表情を変えていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
りしが
影
(
かげ
)
さへ見ず
成
(
なり
)
し頃やう/\
我
(
われ
)
に歸りつゝ
慌忙
(
あわてゝ
)
奧
(
おく
)
に走り入り今の次第を
斯々
(
かう/\
)
と話すに妻も且
呆
(
あき
)
れ且は驚く計りにて
夫婦
(
ふうふ
)
交
(
かたみ
)
に
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『太閤様が朝鮮征伐のとき、敵味方戦死者位牌の代りとして島津ひょうごの守よしひろ公より建てられた』という石碑の
面
(
おもて
)
には
仏法僧鳥
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
湛然
(
たんぜん
)
として音なき秋の水に臨むが如く、
瑩朗
(
えいろう
)
たる
面
(
おもて
)
を過ぐる
森羅
(
しんら
)
の影の、
繽紛
(
ひんぷん
)
として去るあとは、太古の色なき
境
(
さかい
)
をまのあたりに現わす。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兄の方で苦労するのが、当り前だとは思うのですが、どうしても私には、兄や嫂に素知らぬ顔で、
面
(
おもて
)
を合せることができなかったのです。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私がその句をじっと見つめていると、その句の
面
(
おもて
)
に一つの
扉
(
とびら
)
が開かれて、その向こう側に一つの光景なり場面なりが展開される。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
博士は、熱心を
面
(
おもて
)
にあらわして、なおもさかんに指先でいじりまわしたが、一度蛇のように動いた後は、二度とそんなに動かなくなった。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
六人の漁夫たちの
面
(
おもて
)
には、すさまじい緊張の色が圧しつけられ、ちょっとした身振りにも、なにか迫るような凄気が感じられた。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし当の摩利信乃法師は、
不相変
(
あいかわらず
)
高慢の
面
(
おもて
)
をあげて、じっとこの
金甲神
(
きんこうじん
)
の姿を眺めたまま、眉毛一つ動かそうとは致しません。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
丈「三千円返して、証文の
面
(
おもて
)
に利子を付けるという事はないが、
此方
(
こちら
)
の身に
過
(
あやま
)
りがあるから、利子まで付けて
遣
(
や
)
ったが、
外
(
ほか
)
に何があるえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白刃
(
しらは
)
を
植
(
う
)
えたような
稲妻
(
いなづま
)
が
断間
(
たえま
)
なく
雲間
(
あいだ
)
に
閃
(
ひらめ
)
き、それにつれてどっと
降
(
ふ
)
りしきる
大粒
(
おおつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は、さながら
礫
(
つぶて
)
のように
人々
(
ひとびと
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
今は秋陰
暗
(
あん
)
として、空に
異形
(
いぎょう
)
の雲満ち、海はわが坐す岩の下まで満々とたたえて、そのすごきまで
黯
(
くろ
)
き
面
(
おもて
)
を点破する一
帆
(
ぱん
)
の影だに見えず。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
しかし
良
(
やや
)
久しく話しているうちに、保が津軽人だと聞いて、少しく
面
(
おもて
)
を
和
(
やわら
)
げた。大江の母は津軽家の用人
栂野求馬
(
とがのもとめ
)
の妹であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
大体 face というのは
面
(
おもて
)
なんでしょ、おもてが inter ——中——にあるんですからこれはピカソの女の顔みたいなものです。
悦しき知識:――停年講義(昭和三十三年九月十六日)
(新字新仮名)
/
深瀬基寛
(著)
そこで燕は得たりとできるだけしなやかな飛びぶりをしてその窓の前を二、三べんあちらこちらに飛びますと、画家はやにわに
面
(
おもて
)
をあげて
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
池のほとりに植えた守護木の松に近い
四方仏
(
よほうぶつ
)
の
手水鉢
(
ちょうずばち
)
に松葉が茶色になって溜まり、赤
蜻蛉
(
とんぼ
)
がすいすいと池の
面
(
おもて
)
をかすめて飛び交って居る。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
月の
面
(
おもて
)
に雨雲がもったりとかかった。章一の眼ははっきり
醒
(
さ
)
めた。と、
階子段
(
はしごだん
)
をあがって来る
跫音
(
あしおと
)
がして、それが廊下の
襖
(
ふすま
)
の外に止まった。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
やがて、お日さまがキラキラと海の
面
(
おもて
)
を照らしました。人魚のお姫さまはようやく気がつきましたが、はげしい痛みをからだに感じました。
人魚の姫
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いつでも嬢様を尋ねるときは
面
(
おもて
)
に喜びの色輝やきて晴/\としてゐるが、
其
(
その
)
皮一重下に
秘
(
かく
)
るゝ苦痛は如何ばかりぞと思ふと実に同情する子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
目の前に湖水が濃い
藍色
(
あいいろ
)
に
湛
(
たた
)
えられている。そこにあったベンチに腰を掛けて、
好
(
い
)
い心持ちになって、鏡のように平かな水の
面
(
おもて
)
を見渡した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“面”を含む語句
表面
面貌
面紗
正面
地面
面白
外面
前面
上面
真正面
面色
横面
海面
面帕
水面
渋面
面相
川面
強面
側面
...