客席おもて)” の例文
客席おもてに、笑い声が湧いて、すぐに消えた。藤吉は、再び不機嫌な表情いろに返って、周囲の人の顔から顔へと、無意味に見える視線を、しきりに走らせていた。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もう一度聞こうじゃあねえか。いいか——おまはんが、この客席おもての戸からはいって来る。部屋の障子がすこしあいて、人形太夫の紋之助さんと——女は、何と言ったっけな?
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)