表門おもて)” の例文
「ご念の入ったことで……今日は、表門おもてからではなく、裏の潜門くぐりからお入れくださいまして、池の乱杭石のあたりへおとめ置きねがいます」
西林図 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
表門おもての方には、奥方鹿子、忍びやかなる御帰宅おんかへり。三十二相は年齢の数、栄耀の数の品々を、身にはつけても、埓もない、眼鼻は隠れぬ、辛気さに、心の僻みもまたひとしほ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)