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ぜんめん
前面の
大手の
彼方に、
城址の
天守が、
雲の
晴れた
蒼空に
群山を
抽いて、すつくと
立つ……
飛騨山の
鞘を
払つた
鎗ヶ
嶽の
絶頂と、
十里の
遠近に
相対して
『
何やら
由井ヶ
浜らしい
景色である……。』
私はそんなことを
考えながら、
格別険しくもないその
砂丘を
登りつめましたが、さてそこから
前面を
見渡した
時に
百合と
薔薇とを取りかへて
部屋の
暗さを
忘れてゐると、次ぎにはおいらん
草が白と
桃色の
雲のやうに、庭の
全面に
咲き
乱れた。
東と
西と
南の
三方は
此島の
全面で、
見渡す
限り
青々とした
森つゞき、
處々に
山もある、
谷も
見える、また
逈か/\の
先方に
銀色の
一帶の
隱見して
居るのは、
其邊に
一流の
河のある
事が
分る。
艇長百三十
呎、
全面雪白の
電光艇が、
靜かに
波上に
泛んだ
時の
勇ましさ、
櫻木海軍大佐は
軍刀をかざして
觀外塔上に
立ち、
一聲叫ぶ
號令の
下に、
艇は
流星の
如く
疾走した、
第二の
號令と
共に
※る十
有餘日の
間、よく
吾等の
運命を
守護して
呉れた
端艇をば、
波打際にとゞめて
此島に
上陸して
見ると、
今は五
月の
中旬すぎ、
翠滴らんばかりなる
樹木は
島の
全面を
蔽ふて、
遙か
向ふは、
野やら