“相対”のいろいろな読み方と例文
旧字:相對
読み方割合
あいたい64.3%
あいむか7.1%
あひたい7.1%
さしむかい5.7%
さしむか4.3%
さしむかひ4.3%
あひたひ1.4%
あひむか1.4%
さし1.4%
むかいあ1.4%
むきあ1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから二時間ばかり後、彼等はやっぱり元のままの状態で、その長い間、殆ど姿勢さえもくずさず、三郎の部屋で相対あいたいしていました。
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ことばはしばし絶えぬ。両人ふたりはうっとりとしてただ相笑あいえめるのみ。梅の細々さいさいとして両人ふたり火桶ひおけを擁して相対あいむかえるあたりをめぐる。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
彼の新なる悔は切にまつはるも、いたづらに凍えて水を得たるにおなじかるこのふたつの者の、相対あひたいして相拯あひすくふ能はざる苦艱くげんを添ふるに過ぎざるをや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
宗蔵は三吉と相対さしむかい胡坐あぐらにやった。「どうも胡坐をかかないと、食ったような気がしないネ——へえ、久し振で田舎いなか御馳走ごちそうに成るかナ」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「どうしたい!」と私は束々つかつかと進んで、「アこっちへ来給え、」と応接へ案内し、卓をなか相対さしむかいとなるや、「大変悪いように聞いたが、能く出て来られたネ!」
突然な斯の来客の底意の程も図りかね、相対さしむかひすわる前から、もう何となく気不味きまづかつた。丑松はすこしも油断することが出来なかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
相対あひたひする坊主ばうずくちは、三日月形みかづきなりうへおほきい、小鼻こばなすぢふかにやつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひかけて、みづにはのぞまず、かへつてそらゆびさした老爺ぢいゆびは、ひとつみね相対あひむかつて、かすみたかい、天守てんしゆむねならんでえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
梯子エスカーダ・デ・モン」とは、いわゆる相対さしの遊び方である。しかしそれは、賭博場キヤジノなどでやるものではなく、もちろんその婦人なども知っているものであった。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
この工場と相対むかいあってる北側に、今は地震でくずされて旧観をあらためてしまったが、附属の倉庫の白壁の土蔵があった。
優しい処女おとめの声が、患者控室に当てた玄関をへだてて薬局に相対むきあった部屋の中から漏れて来たが、廊下を歩く気配がして、しばらくすると、中庭の木戸が開いた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)