前面まえづら)” の例文
名残が惜しいから暇乞いとまごいをしながら馬の前面まえづらなでて、おれえ江戸へき、奉公してけえって来るまで、達者で居て呉んろとわしい泣きやんして、其の馬を撫でたりさすったりしやすと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬の前面まえづらを撫でさすりまして、多助は堪り兼て袖を絞って、おい/\泣きますと、多助の実意が馬に感じましたか、馬も名残を惜む様子で、首を垂れてさも悲しげに泣出しまして
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多助は正直者ゆえ其の銭を馬の荷鞍にぐらへ結び付けまして、自分は懐にあるほまちの六百の銭を持ってきにかゝりましたが、日頃自分の引馴れている馬に名残なごりおしみ、馬の前面まえづらを二度ばかり撫でて
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)