-
トップ
>
-
荷鞍
一日の
事で、十八九の
一人の
少年、
馬に
打乘り、
荷鞍に
着けた
皮袋に、
銀貨をざく/\と
鳴して
來て、
店頭へ
翻然と
降り、さて
人參を
買はうと
云ふ。
尾瀬沼の東の
檜高山、治右衛門池の南の
皿伏山、さては其名の如く双峰を対峙させた
荷鞍山までも、皆大きな
蛞蝓が
匐ったようにのろのろしている。
彼は
他人に
傭はれて
居ながら、
草刈にでも
出る
時は
手拭と
紺の
單衣と三
尺帶とを
風呂敷に
包んで
馬の
荷鞍に
括つた。