“さすが”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
流石89.1%
6.2%
有繋3.1%
小刀1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かうなると、探索の範囲もよほど広くなるわけであるが、流石さすがじゃの道はへびで、手先は、づ近所の新宿に眼をつけた。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「親にさえ顔を踏まれたことはない。一生おぼえております」うめくような口調で、とぎれ、とぎれそういったので、私は、流石さすがにいやな気がした。
黄金風景 (新字新仮名) / 太宰治(著)
従って相当の好奇心の持主らしく、ロスコー家の寝室に無断で侵入して、夫人の惨死体を発見したが、しかし流石さすがに屍体には手を触れなかった。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このをとこくらべると流石さすがのブリダアの市人まちびと餘程よほど勤勉きんべんたみはんければならない
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
流石さすがは世界の学界に植物学の大家として名声を博した程あって、コックニー博士の花園には無駄の草花は一本も無い。みんな珍らしい草ばかりだ」
物凄き人喰い花の怪 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一方吾々下飯台の方は、幾月にも斯様こんなお手柔てやわらかなこきつかわれ方に遭遇でくわさないので、かえって拍子抜がして、変てこだがさすがに嬉しさは顔やこなしに隠されぬ。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
しかし、エノツク・アヽデンや、モウパツサンの小話や、さういふものと同じに見せかけておいて、それをあの結末のところでひつくり返した形は、さすがはこの作者だと思つた。
三月の創作 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
併し、さすがに晃一が居合わせる際なら、そう我儘も云うわけにはいかなかった。晃一に対してはまことに素直に振舞った。
勝敗 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
然し、間さん、さすがに貴方で御座いますのね、私敬服して、了ひました。失礼ながら貴方のお腕前に驚きましたので御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おふくろは色消いろけしにつつむで置くべきボロまで管はずぶちまけと、お房はさすがに顏をあからめて注意を加へた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ノッケから読者を旋風に巻込むような奇想天来に有繋さすがの翁も磁石に吸寄せられる鉄のように喰入って巻をく事が出来ず
露伴の出世咄 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
有繋さすが幾人いくにん自分じぶん父母ふぼばれるのでにがわらひんでひかへてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いつも一人ぼっちでいじけて居る子が、何でこんな意外な事を云うのやら、私は少しうろたえて、相手の顔を読むようにぼんやり立った儘であったが、日頃は弱虫だの何だのと悪口を云っていじめ散らしたようなものゝ、こういって眼の前に置いて見ると、有繋さすが良家の子息むすこだけに気高く美しい所があるように思われた。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しか段々だん/\落着おちつくにしたがつて、有繋さすがにミハイル、アウエリヤヌヰチにたいしてはどくで、さだめし恥入はぢいつてゐることだらうとおもへば。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
途中で別れた白根行きの二人、帰途、この茶屋へ知らずに飛び込み、有繋さすがの両人も孤屋こおく怪婆かいば吃驚敗亡きっきょうはいぼうあとをも見ず一目散に逃げ出したそうである。
ところがそこへ来て見ると、男は杉の根にしばられている、——女はそれを一目見るなり、いつのまにふところから出していたか、きらりと小刀さすがを引き抜きました。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小刀さすがのどに突き立てたり、山の裾の池へ身を投げたり、いろいろな事もして見ましたが、死に切れずにこうしている限り、これも自慢じまんにはなりますまい。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、そのさるのようなものは、彼と相手との間を押しへだてると、とっさに小刀さすがをひらめかして、相手の乳の下へ刺し通した。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
春彦 おお、取り紛れて忘れていた。これから大仁おおひとの町まで行って、このあいだあつらえておいたのみ小刀さすがをうけ取って来ねばなるまいか。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしはほとんどゆめうつつのうちに、をつとはなだ水干すゐかんむねへ、ずぶりと小刀さすがとほしました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)