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有繋
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さすが
ふりがな文庫
“
有繋
(
さすが
)” の例文
妾
(
わたし
)
のやうな
拗者
(
すねもの
)
をコロリと云はせるやうに出来たら余程お手柄やと
散三
(
さん/″\
)
に冷かされて
有繋
(
さすが
)
の大哲学者も頭を抱へて閉口したやうだよ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
棒の先で屋根の下を掘ってみると、中から出たのは人骨か、獣の骨か、——ゴソゴソとひと固まり。
有繋
(
さすが
)
の将軍も、「ヒャー何物!」。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
おつたが
庭
(
には
)
を
見
(
み
)
ると
勘次
(
かんじ
)
は
幾年
(
いくねん
)
も
遭
(
あ
)
はなかつた
※
(
あね
)
の
容子
(
ようす
)
を
有繋
(
さすが
)
にしみ/″\と
見
(
み
)
るのであつた。おつたは五十を
幾
(
いく
)
つも
越
(
こ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
で、
船
(
ふね
)
が
一揺
(
ひとゆす
)
れ
揺
(
ゆ
)
れると
思
(
おも
)
ふと、
有繋
(
さすが
)
に
物駭
(
ものおどろ
)
きを
為
(
し
)
たらしい、
艫
(
とも
)
に
居
(
ゐ
)
た
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
は、はらりと
其
(
そ
)
の
紫
(
むらさき
)
がゝつた
薄黒
(
うすぐろ
)
い
翼
(
つばさ
)
を
開
(
ひら
)
いた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト思ひしが。
有繋
(
さすが
)
義を知る獣なれば、
眠込
(
ねご
)
みを噬まんは快からず。かつは誤りて他の狐ならんには、無益の
殺生
(
せっしょう
)
なりと思ひ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
▼ もっと見る
凄然
(
せいぜん
)
たる
月
(
つき
)
、
塀
(
へい
)
の
上
(
うへ
)
の
釘
(
くぎ
)
、
監獄
(
かんごく
)
、
骨燒場
(
ほねやきば
)
の
遠
(
とほ
)
い
焔
(
ほのほ
)
、アンドレイ、エヒミチは
有繋
(
さすが
)
に
薄氣味惡
(
うすきみわる
)
い
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれて、しよんぼりと
立
(
た
)
つてゐる。と
直後
(
すぐうしろ
)
に、
吐
(
ほつ
)
と
計
(
ばか
)
り
溜息
(
ためいき
)
の
聲
(
こゑ
)
がする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
有繋
(
さすが
)
に通常罪人を以て遇せず言葉も
丁寧
(
ていねい
)
に監守長の如きも時々見廻りて、
特
(
こと
)
に談話をなすを喜び、中には用もなきに話しかけては、ひたすら妾の意を迎えんとせし看守もありけり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
有繋
(
さすが
)
良家の
子息
(
むすこ
)
だけに気高く美しい所があるように思われた。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さうして
女房
(
にようばう
)
は
激烈
(
げきれつ
)
な
神經痛
(
しんけいつう
)
を
訴
(
うつた
)
へつゝ
死
(
し
)
んだ。
卯平
(
うへい
)
は
有繋
(
さすが
)
に
泣
(
な
)
いた。
葬式
(
さうしき
)
は
姻戚
(
みより
)
と
近所
(
きんじよ
)
とで
營
(
いとな
)
んだが、
卯平
(
うへい
)
も
漸
(
やつ
)
と
杖
(
つゑ
)
に
縋
(
すが
)
つて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
人気の盛んなのは今日の帝展どころでなかった。油画の元祖の
川上冬崖
(
かわかみとうがい
)
は
有繋
(
さすが
)
に名称を知っていて、片仮名で「ダイオラマ」と看板を書いてくれた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
途中で別れた白根行きの二人、帰途、この茶屋へ知らずに飛び込み、
有繋
(
さすが
)
の両人も
孤屋
(
こおく
)
の
怪婆
(
かいば
)
に
吃驚敗亡
(
きっきょうはいぼう
)
、
後
(
あと
)
をも見ず一目散に逃げ出したそうである。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
まじ/\して
居
(
ゐ
)
たが、
有繋
(
さすが
)
に、
疲
(
つかれ
)
が
酷
(
ひど
)
いから、
心
(
しん
)
は
少
(
すこ
)
し
茫乎
(
ぼんやり
)
して
来
(
き
)
た、
何
(
なに
)
しろ
夜
(
よ
)
の
白
(
しら
)
むのが
待遠
(
まちどほ
)
でならぬ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日さへはや暮れなんとするに、宿るべき木陰だになければ、
有繋
(
さすが
)
に心細きままに、ひたすら路を急げども。今日は朝より、一滴の水も飲まず、一塊の食も
喰
(
くら
)
はねば、
肚饑
(
ひだる
)
きこといはん
方
(
かた
)
なく。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
客等
(
きやくら
)
が
立去
(
たちさ
)
つてからも、
彼
(
かれ
)
は
一人
(
ひとり
)
で
未
(
ま
)
だ
少時
(
しばらく
)
惡體
(
あくたい
)
を
吻
(
つ
)
いてゐる。
然
(
しか
)
し
段々
(
だん/\
)
と
落着
(
おちつ
)
くに
隨
(
したが
)
つて、
有繋
(
さすが
)
にミハイル、アウエリヤヌヰチに
對
(
たい
)
しては
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で、
定
(
さだ
)
めし
恥入
(
はぢい
)
つてゐる
事
(
こと
)
だらうと
思
(
おも
)
へば。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
必要
(
ひつえう
)
な
繩
(
なは
)
は
卯平
(
うへい
)
が
丈夫
(
ぢやうぶ
)
に
綯
(
な
)
つて
置
(
お
)
いた。それから
壁
(
かべ
)
を
塗
(
ぬ
)
るのには
間
(
あひだ
)
を
措
(
お
)
いて二三
日
(
にち
)
かゝつた。
勘次
(
かんじ
)
も
有繋
(
さすが
)
に
勞力
(
らうりよく
)
を
惜
(
をし
)
まなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
十五世紀十六世紀頃なら相当な人物であつたかも知れないが、
X
(
えつきす
)
光線や無線電信の行はれる二十世紀には到底向かない男だ。併し
有繋
(
さすが
)
に牧師さんだ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
これには
有繋
(
さすが
)
の豪傑連も少なからず困った。
地駄太
(
じだんだ
)
踏んで憤慨したが、当の相手は五、六丈上方に天険を控えて待構えている。将軍もこれには手の出しようがない。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
万年博士が『
天網島
(
てんのあみじま
)
』を持って来て、「さんじやうばつからうんころとつころ」とは何の事だと質問した時は、
有繋
(
さすが
)
の緑雨も閉口して
兜
(
かぶと
)
を
抜
(
ぬ
)
いで降参した。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
有繋
(
さすが
)
に
渠女
(
あれ
)
は約束の妻とも云ひかねて当座のがれの安請合をしたが其後間もなく御当人が第一に失恋を歌ふやうになつてからはプイと
何所
(
どこ
)
へか隠れて了つた。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
いくら放任教育でも
有繋
(
さすが
)
にお客の
肴
(
さかな
)
を
掠奪
(
りゃくだつ
)
するを
打棄
(
うっちゃ
)
って置けないから、そういう時は自分の膝元へ引寄せてお
椀
(
わん
)
の
蓋
(
ふた
)
なり
小皿
(
こざら
)
なりに肴を取分けて陪食させた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
見物席のそこらここらから笑い
私語
(
ささめ
)
く声が聞えたが、
有繋
(
さすが
)
は紅葉である、少しも
周章
(
とっちら
)
ないで舞台へ来ると、グルリと後ろ向きになって
悠然
(
ゆうぜん
)
として紺足袋を脱いだ。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ノッケから読者を旋風に巻込むような奇想天来に
有繋
(
さすが
)
の翁も磁石に吸寄せられる鉄のように喰入って巻を
釈
(
お
)
く事が出来ず、とうとう徹宵して
竟
(
つい
)
に読終ってしまった。
露伴の出世咄
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
(この点においてはかつて一度もマジメな議論をした事のない紅葉は
有繋
(
さすが
)
に怜悧であった。)
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
之を尽く灰として了わなかったは
有繋
(
さすが
)
の悪魔の猛火も名著を滅ぼすを惜んだのであろう。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ダンチェンコは文人としては第二流であるが、新聞記者としては
有繋
(
さすが
)
に露西亜有数の人物だけに興味も識見も頗る広く、日本の文人のような文学一天張の世間見ずではなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
或人が、さぞ不自由でしょうと
訊
(
き
)
いたら、何にも不自由はないが毎朝
虎子
(
おかわ
)
を棄てに行くのが苦労だといったそうだ。
有繋
(
さすが
)
の椿岳も山門
住居
(
ずまい
)
では夜は虎子の厄介になったものと見える。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その上に固く結束して互に相援引し、応援するにも敵対するにも一斉に
起
(
た
)
って進退緩急の行動を
侶
(
とも
)
にした。歩武の整然として訓練の
能
(
よ
)
く行届いたは
有繋
(
さすが
)
に紅葉の統率の才の尋常でなかった事が解る。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
繋
漢検準1級
部首:⽷
17画
“有”で始まる語句
有
有難
有無
有様
有之
有頂天
有耶無耶
有名
有明
有体