灰燼十万巻かいじんじゅうまんかん(丸善炎上の記)(まるぜんえんじょうのき)
十二月十日、珍らしいポカ/\した散歩日和で、暢気に郊外でも徜徉きたくなる天気だったが、忌でも応でも約束した原稿期日が迫ってるので、朝飯も匆々に机に対った処へ、電報! 丸善から来た。朝っぱらから何の用事かと封を切って見ると、『ケサミセヤケタ。 …