砂洲さす)” の例文
ひろびろとした白い砂洲さすを両わきに見ていよいよ海にはいろうとする。そのとき、河は、水脈を受けて立ちすくむかと見えた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ここではじめて、正三は立留り、叢に腰を下ろすのであった。すぐ川下の方には鉄橋があり、水の退いた川には白い砂洲さすが朧に浮上っている。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
狭い砂洲さすが突き出たところがあるが、わたしは一八二四年ごろ、この上の、ほんとの岸からは六ロッドばかり出たところで寄せ鍋チャウダーを煮たてる手つだいをしたことがあるが
七兵衛はその片腕を棒の先で砂洲さすの上へき上げて、腕を一見すると、意味ありげな笑い方。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このあたりを取り巻いているものは、ひろびろとした荒寥こうりょうたる環境かんきょうばかりでした。からびた褐色かっしょくのヒースと、うす黒くげた芝草しばくさが、白い砂洲さすのあいだに見えるだけでした。
やがて板のような砂洲さすを越えると海であった。あたりは風雨に近すぎて人の住む家も無く、漁師の小屋さえ見あたらなかった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)