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漂泊
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さすら
ふりがな文庫
“
漂泊
(
さすら
)” の例文
若い時から、諸所を
漂泊
(
さすら
)
った
果
(
はて
)
に、その頃、やっと落着いて、川の裏小路に二階
借
(
がり
)
した小僧の
叔母
(
おば
)
にあたる
年寄
(
としより
)
がある。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(平家の残党であるともいう)一群の南方より
漂泊
(
さすら
)
い来た人達が、この辺の曠野の広大さに、放浪の草鞋を脱ぎ捨てたのがこの村の
草創
(
くさわけ
)
であった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
昔を思ってはだれが原因になってこの方は遠い国に
漂泊
(
さすら
)
っておいでになったか、一人で罪をお負いになったこの方に
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そしてこっちは、ゆくりなく、
漂泊
(
さすら
)
う旅の路上で、ふと伯母に見出されたという形であらしめ度い。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「いや、おあるじ、笑って下さい。じつはこの宋江は、
押司
(
おうし
)
の職にもあるまじき大罪を犯し、県城の
椅子
(
いす
)
や家郷の老父も捨てて、ぜひなく落ちて来た
漂泊
(
さすら
)
い者でござりまする」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
あら情無や勿体なしや、さては院の
御霊
(
みたま
)
の猶此
土
(
ど
)
をば捨てさせ玉はで、妄執の闇に
漂泊
(
さすら
)
ひあくがれ、こゝにあらはれ玉ひし歟、あら悲しや、と地に伏して西行涙をとゞめあへず。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
氷の山、氷の原、氷の谷、空々漠々たる氷の野を、与惣次は
目的
(
めあ
)
てなく
漂泊
(
さすら
)
い出した。時として多勢の人声がした。荒々しい物音もした。
簀巻
(
すま
)
きのように転がされている感じがした。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
妻子も何も持たぬ。仕事は子がいから仕込まれた、——これは名だたる師匠の細工場に籠ってして、
懐中
(
ふところ
)
のある間は諸国旅行ばかりして
漂泊
(
さすら
)
い
歩行
(
ある
)
く。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然死なせてしまったと私の思っていました人が
漂泊
(
さすら
)
ってこの世にまだおりますような話を聞かされました。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
漂泊
(
さすら
)
うことも幾月か。彼の姿はほどなくここ
代州
(
たいしゅう
)
雁門県
(
がんもんけん
)
(山西省北部)の街中に見出される。街は
周
(
しゅう
)
八
支里
(
しり
)
の城壁にめぐらされ、
雁門山
(
がんもんさん
)
に
拠
(
よ
)
る雁門
関
(
かん
)
は、つねに、
北狄
(
ほくてき
)
の侵略にそなえていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
院がお
崩
(
かく
)
れになりまして以来、すべてのことが同じこの世のことと思われませんような変わり方で、思いがけぬ所罰も受けまして、遠国に
漂泊
(
さすら
)
えておりましたが
源氏物語:20 朝顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
墨染の麻の
法衣
(
ころも
)
の
破
(
や
)
れ破れな
形
(
なり
)
で、
鬱金
(
うこん
)
ももう鼠に汚れた布に——すぐ、分ったが、——三味線を一
挺
(
ちょう
)
、
盲目
(
めくら
)
の
琵琶
(
びわ
)
背負
(
じょい
)
に
背負
(
しょ
)
っている、
漂泊
(
さすら
)
う
門附
(
かどづけ
)
の
類
(
たぐい
)
であろう。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとい修行に疲れ、
食
(
しょく
)
に
渇
(
かわ
)
いて、
露衣風身
(
ろいふうしん
)
の
漂泊
(
さすら
)
いに行き暮れていても
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
墨染
(
すみぞめ
)
の
麻
(
あさ
)
の
法衣
(
ころも
)
の
破
(
や
)
れ/\な
形
(
なり
)
で、
鬱金
(
うこん
)
も
最
(
も
)
う
鼠
(
ねずみ
)
に
汚
(
よご
)
れた布に——すぐ、分つたが、——
三味線
(
しゃみせん
)
を一
挺
(
ちょう
)
、
盲目
(
めくら
)
の
琵琶背負
(
びわじょい
)
に
背負
(
しょ
)
つて居る、
漂泊
(
さすら
)
ふ
門附
(
かどづけ
)
の
類
(
たぐい
)
であらう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
解官されて源氏について
漂泊
(
さすら
)
えた
蔵人
(
くろうど
)
もまた
旧
(
もと
)
の地位に
復
(
かえ
)
って、
靫負尉
(
ゆぎえのじょう
)
になった上に今年は五位も得ていたが、この好青年官人が源氏の
太刀
(
たち
)
を取りに戸口へ来た時に
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
源氏が
須磨
(
すま
)
、
明石
(
あかし
)
に
漂泊
(
さすら
)
っていたころは、京のほうにも悲しく思い暮らす人の多数にあった中でも、しかとした立場を持っている人は、苦しい一面はあっても、たとえば二条の夫人などは
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“漂泊”の意味
《名詞》
漂泊(ひょうはく)
流れ漂うこと。
さ迷い歩くこと。
(出典:Wiktionary)
漂
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
泊
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“漂泊”で始まる語句
漂泊者
漂泊人
漂泊士
漂泊女
漂泊性
漂泊生
漂泊癖
漂泊的
漂泊流寓
漂泊の猶大人