“さまよ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彷徨67.5%
徜徉7.8%
逍遙4.2%
逍遥3.6%
漂泊3.2%
逍1.9%
彷1.6%
徘徊1.6%
小迷1.0%
徨1.0%
徉徜0.6%
吟0.6%
吟行0.6%
徉徊0.6%
狭迷0.6%
漂浪0.3%
周流0.3%
呻吟0.3%
彷徊0.3%
彷迷0.3%
徊徘0.3%
徘0.3%
徨彷0.3%
浮浪0.3%
逍迷0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
どうかして和歌子の在処を知りたい。知らずに置くものかと思った。毎夜、霰の降る暗い寒い夜を彼は和歌子の家の周囲を彷徨(さまよ)った。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
林(はやし)は彼等(かれら)の天地(てんち)である。落葉(おちば)を掻(か)くとて熊手(くまで)を入(い)れる時(とき)彼等(かれら)は相(あひ)伴(ともな)うて自在(じざい)に徜徉(さまよ)ふことが默託(もくきよ)されてある。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その次には隱れ場所から離れて、草地の中に逍遙(さまよ)ひ込む。そしてその大きな邸(やしき)の前に不意に釘づけにされ、それに向つての長い、思ひ切つた凝視。
青年は死場所を求めて、箱根から豆相(づさう)の間を逍遥(さまよ)つてゐたのだつた。彼の奇禍は、彼の望み通(どほり)に、偽りの贈り物を、彼の純真な血で真赤に染めたのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
その後は諸国を漂泊(さまよ)って、父の三右衛門の代になってやっと下総(しもうさ)の法典ヶ原に畑をもち、農夫となって住みついていたのだとも——伊織は問いに答えていう。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときおりその一家の人達がその庭園の中に逍(さまよ)ったり、その花の世話をしたりしているのを見かけると、私の胸には何とも云いようのない寂しい気もちと
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
ただはいろうはいろうとするらしく丘のうえを彷(さまよ)ってるうちに目がさめた。蒲団からのり出した右腕が冷たくなっていた。ひえびえとした時雨(しぐれ)の朝である。私はすぐに母を思った。
母の死 (新字新仮名) / 中勘助(著)
老人、唯今の心地を申さば、炎天に頭(こうべ)を曝(さら)し、可恐(おそろし)い雲を一方の空に視(み)て、果てしもない、この野原を、足を焦(こが)し、手を焼いて、徘徊(さまよ)い歩行(ある)くと同然でござる。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甘き青葉の香を吸ひ、流れるこの鳥の聲を聞いては、身は詩人でなくても、魂が胸を出て、聲と共にそこはかとなく森の下蔭を小迷(さまよ)ふてゆく思ひがする。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして深い雨霧が街路灯に薄黄色い円を描く夜明けの街や、野菜や真桑瓜売りの荷車が雑沓する市場や、静かに濡れそぼつ大同江の船着場などをとぼとぼ徨(さまよ)い歩いた。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
木(き)の下(した)に徉徜(さまよ)つてると何處(どこ)ともなく叱(し)ッと云(い)ふ聲(こゑ)がしたので、思(おも)はず愛(あい)ちやんは後退(あとじさ)りしました、ト一羽(は)の大(おほ)きな鳩(はと)が顏(かほ)に飛(と)びついて、翼(つばさ)を以(もつ)て激(はげ)しく愛(あい)ちやんを搏(う)ちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
囲(かく)みゐて 憂へ吟(さまよ)ひ
日本の美 (新字新仮名) / 中井正一(著)
二人は、何といふ事もなく、もう濕聲(うるみごゑ)になつて、片々に語りながら、他所ながらも家々に別れを告げようと、五六町しかない村を、南から北へ、北から南へ、幾度となく手を取合つて吟行(さまよ)うた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
まず山中毒(やまあたり)とでも申すか、五里霧中とやらに徉徊(さまよ)いました手前、真人間から見ますると狂人の沙汰ですが、思いの外時刻が早く、汽車で時の間(ま)に立帰りましたのを、何か神通で
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
関所破りの疑いをかけたらしい腕利きの老人に、どこからともなく附き纏われまして生きた空もなく逐(お)い廻わされました時の、怖ろしゅう御座いましたこと……それから四国路まで狭迷(さまよ)いまして
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして、それ以来地上から姿を消して、とうてい理法では信ぜられぬ生存を続けているのだが、ときおり海上に姿を現わして、いまなお七つの海を漂浪(さまよ)っているのだ。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いつまでもテオバルトのことを、『さまよえる和蘭(オランダ)人』のように考えていて、シュテッヘという悪魔を冒涜したために、七つの海を漂浪(さまよ)わねばならなくなったと信じているのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼等は曠野(あらの)と山と地の洞と穴とに周流(さまよ)いたり
虚々(うかうか)とおのれも里の方(かた)へ呻吟(さまよ)ひ出でて、或る人家の傍(かたわら)を過(よぎ)りしに。ふと聞けば、垣の中(うち)にて怪(あやし)き呻(うめ)き声す。耳傾けて立聞けば、何処(どこ)やらん黄金丸の声音(こわね)に似たるに。今は少しも逡巡(ためら)はず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
青い灯を慕うノンセンスの幽霊ばかりを彷迷(さまよ)わせるようになってしまった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
灰色の雲は対岸に添ひ徊徘(さまよ)つた、広濶(ひろ/″\)とした千曲川の流域が一層遠く幽(かすか)に見渡される。上高井の山脈、菅平の高原、其他畳み重なる多くの山々も雪雲に埋没(うづも)れて了(しま)つて、僅かに見えつ隠れつして居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
されどされど退いて自己の内面生活を顧みるとき、徘(さまよ)いて周辺の事情を見回すとき、内面生活のいかに貧弱に外情のいかに喧騒なるよ。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「光と闇と交錯していちじるき明暗や色彩を生むとき、誰か好みてその薄明の中を徨彷(さまよ)はざるものありや」と、若々しき心に於いて「朧」を註するものである。
朧 (旧字旧仮名) / 岡本かの子(著)
外国までも浮浪(さまよ)い歩るいて音信不通であったこの甥に対し、何の愛憎も消え失(う)せているといった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私は進退谷(きわ)まった。目的を遂げずに罪人となって町を逍迷(さまよ)った揚句(あげく)行く先がなくなるとは何という不運な私であろう。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)