小迷さまよ)” の例文
小迷さまよって行きながら、又ポチの事を考えていると、ふッと気が変って、何だか昨日きのうからの事がみんな嘘らしく思われてならぬ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
甘き青葉の香を吸ひ、流れるこの鳥の聲を聞いては、身は詩人でなくても、魂が胸を出て、聲と共にそこはかとなく森の下蔭を小迷さまよふてゆく思ひがする。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
甘き青葉の香を吸ひ、流れるこの鳥の声を聞いては、身は詩人でなくても、魂が胸を出て、声と共にそこはかとなく森の下蔭を小迷さまようてゆく思ひがする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
頽然ぐたりとなると、足の運びも自然とおそくなり、そろりそろりと草履を引摺ひきずりながら、目的あてもなく小迷さまよって行く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
晝は足をく川原の石も、夜露を吸つて心地よく冷えた。處々に咲き亂れた月見草が、闇に仄かに匂うてゐる。その間を縫うて、二人はそこはかとなく小迷さまようた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
聲は小迷さまよふ樣に、彼方此方あちこち、梢を渡つて、若き胸の轟きに調べを合せる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
声は小迷さまよふ様に、彼方此方あちらこちら、梢を渡つて、若き胸の轟きに調しらべを合せる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)