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漂泊
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へうはく
東京の
家を
疊むとき
宗助は
先祖の
位牌を
一つ
殘らず
携えて、
諸所を
漂泊するの
煩はしさに
堪えなかつたので、
新らしい
父の
分丈を
鞄の
中に
収めて、
其他は
悉く
寺へ
預けて
置いたのである。
それでも
勘次は
卯平の
側が
厭なので
戻らないといふ
積で
他の
村落へ
漂泊した。
復土地へ
歸つて
來ると、
畑に
居ても
田に
居てもお
品が
迫つて
來るので、
彼は
農具を
棄てゝ
遁げることさへあつた。
漂泊の
愁ひを
叙して
成らざりし