ただよわ)” の例文
しかしいよいよ首尾の松が水の上にと長くその枝をのばしているあたりまで来ると、川面かわづらの薄暗さをさいわい彼方かなたにも此方こなたにも流れのままにただよわしてある屋根船の数々
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鼻眼鏡をめぐって消えてしまうと、その煙の行方を見送るように、静に眼を本間さんから離して、遠い空間へただよわせながら、頭をやや後へらせてほとんど独り呟くように
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)