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漂
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ただ
ふりがな文庫
“
漂
(
ただ
)” の例文
今までは全く他人本位で、根のない
萍
(
うきぐさ
)
のように、そこいらをでたらめに
漂
(
ただ
)
よっていたから、
駄目
(
だめ
)
であったという事にようやく気がついたのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
闇を
漂
(
ただ
)
よってくる血の香がプーンと
面
(
おもて
)
を
衝
(
う
)
つ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄さんの言葉はいかにも論理的に終始を貫いて
真直
(
まっすぐ
)
に見えます。けれども暗い奥には矛盾がすでに
漂
(
ただ
)
よっています。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
話しかけられた客はむしろ
真面目
(
まじめ
)
な顔をして、「なるほど」と受けていたが、自分はおかしくてたまらなかった。
淋
(
さみ
)
しそうな兄の
頬
(
ほお
)
にも笑の
渦
(
うず
)
が
漂
(
ただ
)
よった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神さんは多少心元ない色を
梟
(
ふくろ
)
のような丸い眼の
中
(
うち
)
に
漂
(
ただ
)
よわせて出て行った。それから一週間ほど
経
(
た
)
っても森本はまだ帰らなかった。敬太郎も再び不審を
抱
(
いだ
)
き始めた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「
二三日前
(
にさんちまえ
)
からもうおいでだろうと思って、
心待
(
こころまち
)
に御待申しておりました」などと云って、眼の
縁
(
ふち
)
に
愛嬌
(
あいきょう
)
を
漂
(
ただ
)
よわせるところなどは、自分の妹よりも
品
(
ひん
)
の
良
(
い
)
いばかりでなく
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
二日酔
(
ふつかよい
)
の眼と頭をもって、
蚕
(
かいこ
)
の糸を
吐
(
は
)
くようにそれからそれへと出てくるこの
記念
(
かたみ
)
の
画
(
え
)
を
飽
(
あ
)
かず見つめていたが、しまいには眼先に
漂
(
ただ
)
ようふわふわした夢の
蒼蠅
(
うるさ
)
さに
堪
(
た
)
えなくなった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は徳川時代の
湿
(
しめ
)
っぽい空気がいまだに
漂
(
ただ
)
よっている黒い
蔵造
(
くらづくり
)
の立ち並ぶ裏通に、親譲りの家を構えて、敬ちゃん御遊びなという友達を相手に、泥棒ごっこや大将ごっこをして成長したかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漂
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“漂”を含む語句
漂泊
漂浪
漂蕩
漂流
漂白
漂泊者
漂渺
漂着
漂然
漂浪人
漂泊人
漂白粉
漂石
漂著
漂母
漂流物
漂雪
空間漂流器
漂浪者
漂浪民
...