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執
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しつ
ふりがな文庫
“
執
(
しつ
)” の例文
肉體の豊滿さを買はれて、素人から妾奉公に出た女が、無暗に
玄人
(
くろうと
)
の眞似をして、
執
(
しつ
)
つこく、脂つ濃く取廻すと言つた
性
(
たち
)
でせう。
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いやいやそうでない、よくご存知の筈である。
執
(
しつ
)
こいようだが念のため、もういちど承りたい。あなたのご姓名は、何といいましたかな」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから自分が
執
(
しつ
)
こく紙と鉛筆で崖路の地図を書いて教えたことや、その男の
頑
(
かたく
)
なに拒んでいる態度にもかかわらず
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
それがこの通り消え細るまでにゃお上の仕打ちもずいぶんと思い切ってむごいにはむごかったが、片っ方も、また
執
(
しつ
)
っこいとも執っこいもんじゃった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「何が入つたんやろ、
執
(
しつ
)
こいえな。どないしまほ。舌で
嘗
(
ねぶ
)
つて見まほか。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
「また何かそういって来る気でしょうね。
執
(
しつ
)
ッ
濃
(
こ
)
い」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
執
(
しつ
)
こく呼びかけて来る声に向って眼をすえた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「實は、清太郎さんは、叔父さん——主人の六右衞門——にこの間から千兩の金を返して下さるやうにと、
執
(
しつ
)
こくお願ひして居たのです」
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「私もずいぶん多くの手先や同心にも
尾
(
つ
)
けられたけれど、お前みたいな、
執
(
しつ
)
ッこい、根気のいい人間は、見たことがないねえ。恐れ入ったよ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日本橋の
大店
(
おほだな
)
へ、
請人
(
うけにん
)
の無いのを承知で住み込んだが、主人に
執
(
しつ
)
こく
口説
(
くど
)
き廻されて、思案に餘つて死ぬ氣になつた——と斯ういふんです。
銭形平次捕物控:252 敵持ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ややもすると、眼のかたきに、すぐ忠盛を衆判にかけるような堂上たちの
執
(
しつ
)
こい反目は、遠い、昇殿問題に起因している。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれはまことに始末の惡い男でな。お葉がこの家にゐる頃から、主人の妾とわかつてゐるのに、
執
(
しつ
)
こく追ひ廻したやうで」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
などと人数の中から喚いたが、所詮、
敵
(
かな
)
いそうもなく見えたので、何とか言いくるめて通ろうと、
執
(
しつ
)
こく懸合っていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「飛んでもない、物の
譬
(
たとえ
)
だよ、俺は年増女と月賦の洋服屋は相手にしないことにして居るんだ
執
(
しつ
)
こくて叶わないからね」
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ゆんべ、おじさんの所へ、おらが酒を持って行く時に、店で飲んでいた牢人があって、おじさんのことを、いやに
執
(
しつ
)
こく訊いていたといったろう」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は主人の手から、鍵を受取つて、念入りに廻して見ましたが、矢張り言ふことを聽いてくれず、大きな錠は、
執
(
しつ
)
こく沈默を守り續けるのです。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嘆願の
趣
(
おもむき
)
は、到底、相かなわぬ儀なれば、無用にいたせと、
篤
(
とく
)
と答えてつかわしたのに、その後も、二度三度と、
執
(
しつ
)
こく書面を持たせて城門まで参るそうな。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そればかりでなく、私の女房の袖を引いて、
執
(
しつ
)
こく附き
纒
(
まと
)
ひましたが、女房はなか/\堅固な女で、昔の許婚に白い齒も見せなかつたのでございます。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だってネ、おらが、酒を取りにゆくと、店にもお客があったんだもの。——その酔っぱらいがね、また、おらをつかまえて、
執
(
しつ
)
こくいろんなことを訊くんだ」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎は
執
(
しつ
)
こく追及します。平次の智惠の小出しを、少しばかりお品にお裾わけをしてやりたかつたのでせう。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
でもなお、
執
(
しつ
)
こく何か言いながら、
馴々
(
なれなれ
)
しげに寄って来る山伏なので、その
厚顔
(
あつかま
)
しさを叱るように、また
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お照さん——お照の
阿魔
(
あま
)
で澤山ですがね。——色つぽくて脂切つて、
執
(
しつ
)
こくて、慾が深いから、死ぬまで先生から離れやしません。その先生はもう五十五だ。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その雲間から折々かっと照りつける陽はまた
脳膜
(
のうまく
)
を
麻痺
(
まひ
)
させるような
執
(
しつ
)
こさと強烈な光を持っている。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
執
(
しつ
)
こく追ひ廻して居りましたが、納はあんな氣性で、伊三郎のやうな男は嫌ひだと言つて相手にもせず。
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おまもりと称する小さい紙きれを、群集のひとりひとりに渡すたび
執
(
しつ
)
こくいって聞かせるのだった。忽ち雪の
撒
(
ま
)
かれたように、多勢の手に一枚一枚持ち去られてゆく。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
執
(
しつ
)
こく呼び戻さうとしたのは、義理ある仲の父親の市之助で、母親の方は、決してうるさく申したわけではなく、肝腎の糸は、
神樂坂
(
かぐらざか
)
の家へ歸らうともしないのだ
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
執
(
しつ
)
こいやつだな。いやしかし、この道誉とて妄念は捨てきれん。さほどにいうなら聞いてやろう。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嗅ぎつけて、お染へ
執
(
しつ
)
こく
絡
(
から
)
みついた佐太郎を、虎松に誘い出させて打ち殺させ、——虎松がこれを根に持って、乞食姿にも恥じずに、お染を口説き廻ると、油断を
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
郎党の多くは溺死し、義経は、
壊
(
こわ
)
れた船を引っ返したが、陸にはまた、
執
(
しつ
)
こい敵が猛襲してきた。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塀
(
へい
)
の節穴から、大肌脱ぎで化粧をして居る小夜菊を、
執
(
しつ
)
こく覗くのがあるから、そつと表から廻つて脅かしてやると、それが何んと浪人の石澤金之助ぢやありませんか
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
秀吉もまた、そう
執
(
しつ
)
こく根掘り葉掘りはしなかった。士を
辱
(
はずかし
)
めずという程度である。大局から
観
(
み
)
て無用なことは無用に附し、むしろ彼の気もちはべつな方へはたらいていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彫物
(
ほりもの
)
を見せて
肌脱
(
はだぬ
)
ぎになつたり、
蝠女
(
ふくぢよ
)
とやらがお前に
執
(
しつ
)
こく
絡
(
から
)
み付いたり、上州屋の周太郎が顏の火口を刺して居るのを見せたり、皆んなする事がわざとらしいぢやないか
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男が、なお
執
(
しつ
)
こく、くり返して、すすめると、彼は、やにわに、石を拾って、
抛
(
ほう
)
りつけた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仲が好いと言ひ度いけれど、あの氣性のお才さんと、敗けず
劣
(
おと
)
らず鼻つ張りの強い私と、仲が好いわけはない。それに、この家の總領の弟に、
執
(
しつ
)
こく
絡
(
から
)
みついてゐることを
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
執
(
しつ
)
こい野伏たちの襲撃も、人家の軒が接している宿駅のなかではさすが行われず、疲れはてた仲時以下の者も、篠原ノ宿では、ほっと一ト休みもなしえたかと思われる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
靜まり返つた土藏の中、その四本の足の踏み出す、特別のリズムが、
執
(
しつ
)
こくくり返されます。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恐
(
こわ
)
らしい、
執
(
しつ
)
こい眼は、酒の力を借りて、なお老公へいいつづける。いや
絡
(
から
)
み出してくる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはマナ板にのせられた一個の白い女体が、あの異常な
閨技
(
けいぎ
)
をほこる主君のうでに、思うさま分解され変質されているような光景を彼のあたまに
執
(
しつ
)
こく染めていたのだった。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「冗談ぢやありませんよ、あつしもあれほど
執
(
しつ
)
こく女に
絡
(
から
)
まれたことはありませんよ」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その生酔いの今切藤五が、
執
(
しつ
)
こく、一方の同僚を、説きつけようとするものらしい。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それが、その一向他愛も無いんで、手を變へ品を代へ、
執
(
しつ
)
こく惡戯をするが、誰の仕業とも見當はつきませんよ、兎も角も、主人の徳右衞門をつけ狙つてゐる者のあることは確かで」
銭形平次捕物控:273 金の番
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この宴席からいくらも隔ててない壁の外、木蔭、床下など、
悉
(
ことごと
)
く柴田の手により剣槍飛弓が
匿
(
かく
)
されているのではあるまいか。そして
執
(
しつ
)
こく秀吉の
怒髪
(
どはつ
)
を誘っているのではなかろうか。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「丹波屋の隱居が天狗に貸しでもあつて、あんまり
執
(
しつ
)
こく
催促
(
さいそく
)
したんだらう」
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、こんどは、市十郎をとり巻き、どうしても、返さないと、
執
(
しつ
)
こくひきとめた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は何んかありさうな匂ひがするので、日頃にもなく
執
(
しつ
)
こく追及しました。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(いや、そのことなら、その
策
(
て
)
で、当家の玄関へ、
執
(
しつ
)
こくやって参りましたよ)
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曾てお通の眼を
狙
(
ねら
)
った曲者——尼姿のお通を
執
(
しつ
)
こく追い回した男——それが、お通の羽織を着た、娘お照を、匕首で刺したかも知れない男でないと誰が保証するでしょう——梯子を降りながら
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、ずいぶん、
執
(
しつ
)
こくお門を叩いて、さぞうるさく思われたでしょう」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「え、猪之松さんですよ。あの人はそりや
執
(
しつ
)
こいつたら、三年越し私を
口説
(
くど
)
き廻して、時々は眼の色が變るんです。私はあの人の顏を見ると、いつかは手ごめにされさうで、氣味が惡いくらゐ」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ま、
執
(
しつ
)
こいね、この猫の
干物
(
ひもの
)
は。いいかげんにくたばっておしまいよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
執
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
“執”を含む語句
執拗
執着
執念
執行
偏執狂
妄執
執心
執念深
偏執
執著
執事
執成
執政
執金剛神
我執
固執
確執
愛執
御執心
執達吏
...