しつ)” の例文
鼓瑟ことのてしばしとだえ鏗爾こうじとしてしつさしおきてち、対えて曰く、三子者さんししゃよきに異なり。子曰く、何ぞいたまん、またおのおのその志をいうなり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
その後当分の間、邯鄲の都では、画家は絵筆をかくし、楽人はしつげんを断ち、工匠こうしょう規矩きくを手にするのをじたということである。(昭和十七年十二月)
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
空を踏むがごとく、雲を行くがごとく、水中にけいを打つがごとく、洞裏とうりしつするがごとく、醍醐だいごの妙味をめて言詮ごんせんのほかに冷暖れいだん自知じちするがごとし。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼はしばしば詩を吟じ、しつを弾じ、けいを撃った。今日も彼は、一人で朝から磬を撃っていたが、その音は、門外にひびいて、水晶の玉がふれあうように、澄んだ空気の中を流れていた。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
子曰く、ゆうしつ(雅頌に合せず)、奚為なんすれきゅうが門に於てせん。門人子路を敬わず。子曰く、由は堂にのぼれるも、未だ室に入らざるなり。(一五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
曾皙そうせきは、それまで、みんなのいうことに耳をかたむけながら、ぽつん、ぽつんとしつを弾じていたが、先師にうながされると、がちゃりとそれをおいて立ちあがった。そしてこたえた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ある時、子路が一室でしつしていた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
孺悲じゅひが先師に面会を求めた。先師は病気だといって会われなかったが、取次の人がそれをつたえるために部屋を出ると、すぐしつを取りあげ、歌をうたって、わざと孺悲にそれがきこえるようにされた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ゆうしつは、私の家では弾いてもらいたくないな。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)