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潤
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うるほ
ふりがな文庫
“
潤
(
うるほ
)” の例文
皮を
剥
(
む
)
かれた梨は、前のやうに花の形に切られたまゝ置かれてあつた。お光の眼には
懷
(
なつ
)
かしさうな
潤
(
うるほ
)
ひがまただん/\加はつて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
あゝ第一の愛に愛せらるゝ者よ、あゝいと聖なる淑女よ、汝の
言
(
ことば
)
我を
潤
(
うるほ
)
し我を暖め、かくして次第に我を生かしむ 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
潤
(
うるほ
)
せしが此方に向ひてコリヤ娘必ず泣な我も泣じ
和女
(
そなた
)
を
育
(
そだ
)
て此年月
能
(
よき
)
婿
(
むこ
)
取んと思ふ所へ幸ひなるかなと今度の婚姻
無上
(
こよなき
)
親娘
(
おやこ
)
が悦びを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
百餘宇の學寮を持ち、數千の
所化
(
しよげ
)
を養つて、この邊一帶の町家の
潤
(
うるほ
)
ひになつたことなどは、今の人には想像も及びません。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひつそりした
宵
(
よひ
)
の町の静かさや、
潤
(
うるほ
)
ひをもつた星の瞬きや、空に透けてみえる桜の枝などを見ても、淡い春の悦ばしさが感ぜられるのであつた。
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
爾時
(
そのとき
)
一の年わかき婦人ありて、我前に來り
跪
(
ひざまづ
)
き、我手を握り、その涙に
潤
(
うるほ
)
へる黒き瞳もて我面を見上げ、神の母の
報
(
むくい
)
は君が上にあれと呼びたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
事跡からのみ論じて心理を問は無いのは、乾燥派史家の安全な遣り方であるにせよ、情無いことであつて、今日の裁判には少し
潤
(
うるほ
)
ひがあつて宜い訳だ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
商人は
懐
(
ふところ
)
にありて
温
(
あたゝまり
)
のさめざる焼飯の大なるを二ツ食し、雪に
咽
(
のど
)
を
潤
(
うるほ
)
して
精心
(
せいしん
)
健
(
すこやか
)
になり前にすゝんで雪をこぎけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
どれでも
煙草
(
たばこ
)
のやうにしつとりとした一
種
(
しゆ
)
の
潤
(
うるほ
)
ひが
火
(
ひ
)
の
足
(
あし
)
を
引止
(
ひきと
)
めるやうな
力
(
ちから
)
はなくて一
度
(
ど
)
吸
(
す
)
へば
直
(
すぐ
)
に
灰
(
はひ
)
になつて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
貫一は唯胸も張裂けぬ可く覚えて、
言
(
ことば
)
は
出
(
い
)
でず、
抱
(
いだ
)
き
緊
(
し
)
めたる宮が顔をば
紛
(
はふ
)
り下つる熱湯の涙に浸して、その冷たき
唇
(
くちびる
)
を
貪
(
むさぼ
)
り
吮
(
す
)
ひぬ。宮は男の
唾
(
つばき
)
を
口移
(
くちうつし
)
に
辛
(
から
)
くも
喉
(
のど
)
を
潤
(
うるほ
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
馬琴の眼は、この淡彩の
寒山拾得
(
かんざんじつとく
)
に落ちると、次第にやさしい
潤
(
うるほ
)
ひを帯びて輝き出した。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今まで眼を閉ぢて
默然
(
もくねん
)
たりし瀧口は、やうやく
首
(
かうべ
)
を
擡
(
もた
)
げて父が顏を見上げしが、兩眼は
潤
(
うるほ
)
ひて無限の情を
湛
(
たゝ
)
へ、滿面に顯せる悲哀の
裡
(
うち
)
に
搖
(
ゆる
)
がぬ決心を示し、
徐
(
おもむ
)
ろに兩手をつきて
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
寸
(
すん
)
ほどにのびた
院内
(
ゐんない
)
の
若草
(
わかぐさ
)
が、
下駄
(
げた
)
の
齒
(
は
)
に
柔
(
やはら
)
かく
觸
(
ふ
)
れて、
土
(
つち
)
の
濕
(
しめ
)
りがしつとりと
潤
(
うるほ
)
ひを
持
(
も
)
つてゐる。
微
(
かす
)
かな
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけられて、
雨
(
あめ
)
の
糸
(
いと
)
はさわ/\と
傘
(
かさ
)
を
打
(
う
)
ち、
柄
(
え
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
を
霑
(
うるほ
)
す。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
山間の寂しい小學校にゐた間、俸給の
餘剩
(
あまり
)
を積んで
購
(
あがな
)
つて、獨り稽古で勝手な音を出して、夜毎にこれを
弄
(
もてあそ
)
んでゐたことが、涙ぐまるゝやうな追憶となつて、乾いた彼れの心を
潤
(
うるほ
)
はした。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
王子
(
わうじ
)
の
音無川
(
おとなしかは
)
も
三河島
(
みかはしま
)
の野を
潤
(
うるほ
)
した其の末は
山谷堀
(
さんやぼり
)
となつて同じく船を
泛
(
うか
)
べる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
潤
(
うるほ
)
し徳は身を潤す富は少しき
費
(
つひへ
)
を省き少しき利を集めたるなり集りて富となれば屋を潤すばかりでなく人を潤し業を興す流れの及ぶところ皆な潤す徳は少しの善行を重ねたるなり
其功徳
(
そのこうとく
)
身を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
その力は、
目醒
(
めざ
)
め、燃えた。そしてまづ、今までは
蒼
(
あを
)
ざめた
血
(
ち
)
の
氣
(
け
)
のないものとしか見えなかつた、彼女の頬の
鮮
(
あざ
)
やかな紅となつて輝き、次には彼女の眼の
潤
(
うるほ
)
ひにみちた艷となつて光つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
思はず枕を
潤
(
うるほ
)
したこともあつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
見れば
幾許
(
いくら
)
大家の
由緒
(
ゆゐしよ
)
ある家のと
云
(
いふ
)
ても町人は町人だけで
詮方
(
せんかた
)
なし必ず
喃々
(
くよ/\
)
思ふなよと
勵
(
はげま
)
しながら父親も同じ袂を
潤
(
うるほ
)
はしぬ娘はやう/\顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この後さま/″\の流れ彼より出でたり、カトリックの園これによりて
潤
(
うるほ
)
ひ、その
叢樹
(
こだち
)
いよ/\榮ゆ 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
商人は
懐
(
ふところ
)
にありて
温
(
あたゝまり
)
のさめざる焼飯の大なるを二ツ食し、雪に
咽
(
のど
)
を
潤
(
うるほ
)
して
精心
(
せいしん
)
健
(
すこやか
)
になり前にすゝんで雪をこぎけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
まだ
幾
(
いく
)
らも
刈
(
か
)
られてない
田
(
た
)
は、
黄褐色
(
くわうかつしよく
)
の
明
(
あか
)
るい
光
(
ひかり
)
を
反射
(
はんしや
)
して、
處々
(
しよ/\
)
の
畑
(
はたけ
)
に
仕
(
あ
)
る
桑
(
くは
)
も、
霜
(
しも
)
に
逢
(
あ
)
ふまではと
梢
(
こずゑ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
軟
(
やはら
)
かな
葉
(
は
)
の四五
枚
(
まい
)
が
潤
(
うるほ
)
ひを
有
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
千年流れて盡きず、六月地
長
(
とこし
)
へに寒しといふ詩の句の通り、人をして
萬斛
(
ばんこく
)
の凉味に夏を忘れしめ、飛沫餘煙翠嵐を卷いて、松桂千枝萬枝
潤
(
うるほ
)
ひ、龍姿雷聲白雲を起して
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
十九の
厄
(
やく
)
といふにしては初々しく、喜三郎が命まで投げ出さうといふだけあつて、お皆のやうな文法的な美人ではありませんが、いぢらしく、優しく、
潤
(
うるほ
)
ひと光澤があつて
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何か買物をした
風
(
ふう
)
であたふたと出て來て、
潤
(
うるほ
)
ひのある眼の
縁
(
ふち
)
に
皺
(
しわ
)
を寄せつゝ、ニツと笑つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
歐羅巴
(
ヨオロツパ
)
に都會多しと雖、古羅馬のピアツツア、デル、ポヽロほど晴やかなるはあらじ。〕我は熱き頬を獅子の口に押し當て、水を頭に被りぬ。衣や
潤
(
うるほ
)
はん、髮や亂れん、とドメニカは氣遣ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
潤すに止まらず人をして
知
(
しら
)
ず/\の間に
善
(
よき
)
に導き逢ふ所觸るゝところ皆な徳に
潤
(
うるほ
)
はざるなし學問もまた斯の如し
今日
(
こんにち
)
一事を知り
明日
(
みやうにち
)
また一事を知る集りて大知識大學者とはなるなり現に今ま此の水を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
底を
籠
(
かご
)
にして、上の方は
鹽瀬
(
しほぜ
)
の鼠地に白く
蔦模樣
(
つたもやう
)
の
刺繍
(
ぬひ
)
をした
手提
(
てさ
)
げの
千代田袋
(
ちよだぶくろ
)
を取り上げて、お光は見るともなく見入りながら、
潤
(
うるほ
)
ひを含んだ眼をして、
獨
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のやうに言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
春にいたり
枝
(
えだ
)
につもりし雪まづとけて葉をいださぬ木の森をなしたるに、滝の
水烟
(
すゐゑん
)
枝
(
えだ
)
に
潤
(
うるほ
)
ひしが
津
(
しづく
)
となり
氷柱
(
つらゝ
)
となりて
玉簾
(
たまのすだれ
)
をかけ
周
(
めぐら
)
したるやうなるは、これも又たぐふべきものなし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
善悪無差別の
悪平等
(
あくびやうどう
)
の見地に立つて居るやうな男だが、それでも人の物を奪つて吾が妻子に呉れてやり、金持の
懐中
(
ふところ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて手下には
潤
(
うるほ
)
ひをつけてやるところが感心な位のものだつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
篤
(
とく
)
と見らるゝに年の
頃
(
ころ
)
三十歳ばかり
顏色
(
がんしよく
)
痩衰
(
やせおとろ
)
へ
肉
(
にく
)
落
(
おち
)
骨
(
ほね
)
顯
(
あら
)
はれ
何樣
(
いかさま
)
數日
拷問
(
がうもん
)
に苦しみし體なり扨又女房お節を見らるゝに
渠
(
かれ
)
とても
顏色
(
がんしよく
)
更
(
さら
)
に
人間
(
にんげん
)
の
潤
(
うるほ
)
ひなく
色
(
いろ
)
蒼然
(
あをざめ
)
て兩眼を
泣脹
(
なきはら
)
し
櫛卷
(
くしまき
)
に髮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一家一族は言ふまでもなく、谷中三崎町一圓の
潤
(
うるほ
)
ひになつたと言はれました。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ポヽロの廣こうぢに出でゝ、記念塔のめぐりなる石獅の口より吐ける水を
掬
(
むす
)
びて、我涸れたる
咽
(
のんど
)
を
潤
(
うるほ
)
しゝが、その味は人となりて後フアレルナ、チプリイの酒なんどを飮みたるにも増して旨かりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しきりになめたれば心
爽
(
さはやか
)
になり
咽
(
のど
)
も
潤
(
うるほ
)
ひしに、熊は
鼻息
(
はないき
)
を
鳴
(
なら
)
して
寝
(
ねいる
)
やう也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私の心を春の水のやうに、
潤
(
うるほ
)
してくれる
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
潤
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
“潤”を含む語句
浸潤
湿潤
潤沢
利潤
谷崎潤一郎
潤色
潤滑油
秀潤
刪潤
温潤
潤筆料
潤味
徳潤
辻潤
迂潤
豊潤
潤州
潤澤
岡本潤
鮮潤
...