一層ひときは)” の例文
薄紅うすべにをさして居るのが一層ひときはいやらしく見える、が、一更いつこうすましたもので、其だるい京訛きやうなまりを大声で饒舌しやべつて居る、勿論えず煙草たばこはすつて居るので。
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
思はず傍にあつたグロキシニアの真赤な花を抓みつぶした——鏡の中に一層ひときは強く光つてゐた罪悪の結晶が血のやうに痙攣つりかゞんだ五つの指の間から点々と滲み出る。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)